風信 沼のほとりから 第63号 令和七年 皐月クレマチス6 日前読了時間: 1分「・・・大村さんの千夕報を愛読してます。続きが待たれます。よろしくお伝えください。・・・早くも五月号を送る時期、それも時期外れになりそうで慌てています。なんとか間に合いそうで安心しました。・・・」
※木香薔薇スマホで競ふ花比べ
木香薔薇、いきなり降って湧いたようなきらびやかさに見入ってしまってはっと我にかえりスマホで写しとり早くみんなに知らせたい気持。そんなはやる気持ちを、「競う」、と冷ややかに?ちょっと距離を置いてすっと詠まれると、かえってドキドキ感が再現されるのが不思議です。勉強になりました!
※君子蘭凜然襟を正しむる
くっきりと堂々として衒いなし、小憎らしいくらいです。おっしゃる通りです。、、クンシランリンゼンの絶妙な句調に僕も思わず襟を正しました。
※人影に蜥蜴忍者のごとく消ゆ
僕が、この句を詠みたかったです。何度も目にしているのに、忍者のごとく見えていたのに、尻尾をつかみ切れない感受性不足、脱帽です。
※のどかさやシーサー踏ん張る石の門
のどかさはシーサーが踏ん張っているおかげ、ありがとうと言ってしまいそうです、ちょっと笑ってしまいます。失礼しました。
※沈丁花刈られて余香懐かしき
ゆかしき花の名前を思わず口に出してしまいます、刈り取られた故に、、早くもその懐かしさに。
※迂回して電車は町へ麦の秋
麦の秋…麦にとっては、初夏は収穫のとき、この季語はこうやって使うのですね、豊穣はこうやって味わう。
あー、日曜の朝に春硯さんの俳句に出会える幸せ…ありがとうございました。
スポーツは自分ができないだけでなく、プロ野球でも相撲でも以前から観戦することすら稀でしたが、ニュースを見れば必ず出てくるので大の里も名前だけは知っていました。そうですか、石川県の出身、県民の皆さんの喜びようが察せられます。相撲教室の入部者も増えたとか。
そういえば、今をときめく大谷翔平選手もですが、もう一人大リーグで活躍中の佐々木朗稀選手も同じく岩手県の人。東北の目立たぬ県が野球少年たちの巡礼の地になるかもしれません。
「愁いつつ岡に登れば花いばら」――蕪村の句、ああ、そうだった、と思い出しました。今こちらでは野ばらの花が満開です。白や淡いピンクの可憐な花もありますが、一番元気なのは日本でいうハマナス。これはもう、畑の一隅にも道路わきにも花盛りで、ドイツ語で「ジャガイモ・バラ」という余りありがたくない名前で知られるのは、これが当地では至極ありふれた生命力のあるバラだからでしょう。(ハマナスは確か雅子妃のお印なのに。)
ハマナスのもう一つの特徴は、各種ばらの中でも芳香が非常に強いことで、繁殖力といい鮮やかなマゼンタ色といい、そして強烈な香りといい、はかなげなものを好む日本人ならずともあまり珍重される気配がないのはちょっと可哀想。
以前に「渋滞でしばし眺むる野ばらかな」という句をKBCフォーラムで披露したことがありますが、ことほどさようにアウトバーンの両側にも野ばら・花茨が咲き誇っていて、普段はほとんど目もくれない花を渋滞で車が動かない時にしげしげと眺めることになります。
先月アルザスのホテルに宿泊した時、朝食にEglantine confitureが出されました。野ばらのジャムです。花でなく、秋に色づく実(ローズ・ヒップと呼ばれる)をジャムにしたもので酸味があるのでジャムに向いているようです。野ばらを意味するフランス語のエグランティーヌという名称にはロマンチックな響きがあると思っていたら、女性の名前にもなるらしいですね。
薔薇の他にも、与謝野晶子のいう「火の色」の罌粟や矢車草も咲いて、野には麦が実り、ヨーロッパが一番美しい季節になりました。
先日田舎道を老亭主と散歩した時の句です。
・麦笛を夫(つま)に聞かせつ汗ばめり