コロナを通過して新しい季節を迎えた春硯さんのはずむような感慨の伝わってくる「沼のほとりから」の通信です。近況を伝えるメールも引用させていただきます。「お元気ですか。五月が来てわがオープンカレッジも開講になり現役の気分をいささか味わっています。人間が相対して教え教わるという古代から綿々と伝わる教育の在り方がパンデミックなる疫病によって存立を脅かされたことが忘れられません。「松坂の一夜」の如く時と場と現し身のマッチングこそ教育の真髄なのだと痛感しています。・・・」
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まあ、なんて懐かしい名前を耳にしたことでしょう。高知市の片桐開成社。15歳の早春、私立G高校の入学試験に合格してすぐ、父に連れられて同店に研究社の英和辞典を買いに行きました。他にもっと字も大きくて使いやすそうな辞書もありましたが、そんなのはじきに役に立たなくなる、などと言われ、妙に難しそうな辞書を手にした時の戸惑いを今も覚えています。
以来、私の英和辞典はすべて研究社出版。こちらに持ってきているのは1992年版のリーダーズ英和辞典で、当時は最大の収録語数を誇っていましたが、今はさすがに内容もちょっと古くなりました。(それは当然で、21世紀の新語などが見つかるはずはありません。)
今年の帰国時に高知で幼馴染みから渋沢栄一の孫歌子が書いた本をもらったのですが、「この人、知らないわ」というと「市川三喜の奥さんなの」。「その人のことも知らない」というと、「あら、研究社の英和辞典(正確には研究社新英和小辞典〈編研究社辞書部 1949年〉)を編纂した人よ。」ということで、有り難く頂戴しました。
五月来る卒寿の自分にハイタッチ 青嵐葉裏の白き斜面林 遠足や母の弁当卵焼き どの句からもそれぞれの風、若々しい薫風、葉裏を一斉に巻き上げてみせる激しい風、さらには 、頬を撫でていくあるかなしかの微風をありありと感じます、いつもながらの若々しい感性に接し恐れ入ります、好い気分をありがとうございました❣️ 春硯さんのお便りを拝見して思い出すのは…我が街の書店…仲見世にあった狭い狭い教師御用達の本屋さん葛飾文庫、立石アーケード商店街の紅文堂、並びの貸本屋さん、北商店街の大光堂書店など狭いエリアに当たり前のようにあった今から思えば、小さな文化発信地、灯台のごとき小さなランドマーク、全てなくなりましたが風景は春硯さんのおかげで蘇りました。