今月も瑞々しい感覚の研ぎ澄まされた六句の「春硯句帖」が届きました。「蘆原や」の句が特に印象的でワイドに利根川から筑波山を望見する風景をパノラマ写真のように焼き付けられました。今回はいただいたメールの一部を以下に引用させていただきます。
…オリンピックが終わり、今日は盂蘭盆の中日です。いかがお過ごしですか。
びすこさんのドイツ報告は現状の犀利な観察と考察に過去の充実かつ華麗な人生体験を織り交ぜた秀逸なエッセイで、毎回愛読しています。長い人生をかけて磨き上げられた、びすこさんの香り高いセンスと豊かな人生体験。それに裏付けられたリアルな国際感覚は、戦後世代の日本人が世界人としてどこまで到達できたかを身をもって示しているようで、誇りをおぼえます。今回の、たとえば経験豊かな女性の目から見た男の魅力、ポーランド人の日本への思いとか、ほんとうにびすこさんならではの、心に沁みる話で、並みの商業誌紙ではお目にかかれぬいい文章です。葛飾文芸クラブ・ブログ一番の読み物といっても過言ではありません。次回を心から待望しています。…
咲かせる花はなくとも、その固い蕾でも残せば、あるいは土壌を準備して置けば、いつか花咲くことがあるのではないでしょうか。
・埋もれ木の花咲くこともなかりしに身の成る果てぞ悲しかりける
こう詠んで氏平等院で自害した源頼政が、平家に反旗を翻し挙兵したのは74歳のとき。今でいえば百歳近い年齢ですね。その反乱は失敗しますが、それを機にそこここに反平家の狼煙があがってついに源氏の世になる。
私たちのあとに豊かに咲く花がありますように。
〔大村繁さんの代理投稿です。)
心と視線がシンクロする次の二句にしびれました。ほっと一息ついたときの何気ない瞬間をとらえた情景が鮮やかに目に浮かびます、この句に接した人はきっとだれでも、共感し、知らぬ間に自分も同じ空気を吸っている、本当に素敵な句です。声に出して読めばすぐにわかります。高ぶりが微塵もない、柔らかなことばのリズムの中に、厠、木陰の硬音:カ、コ、が快く響きます、ありがとうございます、本当に勉強になりました!
梅雨明けや厠の窓の空の青
木陰よりふんわり揚羽の行方かな