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執筆者の写真クレマチス

コロナリテラシー7 最低政権下でのコロナとの付き合い方

20200522


コロナ対策で迷走中の安倍政権が強行しようとした黒川検事長の定年延長問題は、この大変な自粛期間中に、新聞記者との賭けマージャンが発覚して、辞職という驚きの結末を迎えた。もっと驚いたのはその処分だ。「訓告」処分という退職金も確保される大甘の処分を受け、閣議で辞職を承認ということになるらしいが、民間なら辞表など受理されず、懲戒解雇だろう。三密を完璧に満たし、常習賭博という違法行為を犯した検事長、検事総長候補というのは何だろう。例によって文春砲が炸裂して(「黒川弘務検事長は接待賭けマージャン常習犯《現場スクープ撮》――5月1日、産経記者の自宅で“3密”6時間半」文春オンライン5/20)、自粛延長で生きるか死ぬかの瀬戸際にいる国民の注目するなか、これで幕引きというわけだ。このような人物を異例の閣議決定で定年延長した安倍内閣の出鱈目ぶりは度を越している。東京高検のルールブックと人事院の「懲戒処分の指針について」などをあてはめると、常習賭博は停職処分が相当で、予定される退職金5889万3238円は不支給となる(前田恒彦「検事長を懲戒処分せず、退職金6000万円支給は温情? 本来のあるべき処分とは」ヤフーニュース5/22)。


さて、この新型コロナCOVID-19は知れば知るほど手ごわいウィルスであることが分かってきた。「ウイルスは、他の生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないので、…自己増殖することがない…」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。宿主であるヒトなどの体内に入り込まないかぎり、丸いたんぱく質の塊だから、武漢から全世界に拡散して人類を危機に陥らせているのは、すべて人間の接触行為によるということである。COVID-19のふるまいはすべて人間のふるまいの写し絵だ。


福岡伸一によると、「新型コロナウイルスは、目に見えないテロリストのように恐れられているが、一方的に襲撃してくるのではない。まず、ウイルス表面のたんぱく質が、細胞側にある血圧の調整に関わるたんぱく質と強力に結合する。これは偶然にも思えるが、ウイルスたんぱく質と宿主たんぱく質とにはもともと友だち関係があったとも解釈できる。…さらに細胞膜に存在する宿主のたんぱく質分解酵素が、ウイルスたんぱく質に近づいてきて、これを特別な位置で切断する。するとその断端が指先のようにするすると伸びて、ウイルスの殻と宿主の細胞膜とを巧みにたぐりよせて融合させ、ウイルスの内部の遺伝物質を細胞内に注入する。かくしてウイルスは宿主の細胞内に感染するわけだが、それは宿主側が極めて積極的に、ウイルスを招き入れているとさえいえる挙動をした結果である。

…ウイルスは構造の単純さゆえ、生命発生の初源から存在したかといえばそうではなく、進化の結果、高等生物が登場したあと、はじめてウイルスは現れた。高等生物の遺伝子の一部が、外部に飛び出したものとして。つまり、ウイルスはもともと私たちのものだった。それが家出し、また、どこかから流れてきた家出人を宿主は優しく迎え入れているのだ。…それはおそらくウイルスこそが進化を加速してくれるからだ。親から子に遺伝する情報は垂直方向にしか伝わらない。しかしウイルスのような存在があれば、情報は水平方向に、場合によっては種を超えてさえ伝達しうる。…

その運動はときに宿主に病気をもたらし、死をもたらすこともありうる。しかし、それにもまして遺伝情報の水平移動は生命系全体の利他的なツールとして、情報の交換と包摂に役立っていった。

 …病気は免疫システムの動的平衡を揺らし、新しい平衡状態を求めることに役立つ。そして個体の死は、その個体が専有していた生態学的な地位、つまりニッチを、新しい生命に手渡すという、生態系全体の動的平衡を促進する行為である。 

かくしてウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウイルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。」(「「ウイルスは撲滅できない」福岡伸一さんが語る動的平衡」朝日新聞デジタル4/6)


とはいえ、目下の課題はCOVID-19の脅威を、当てにならない政府のもとで、いかに克服するかということだ。早ければ、25日(月)にも緊急事態の繰り上げ解除となり、東京都も翌日自粛解除のステップ1ということになるらしい。諸外国からも、心ある国内専門家からも科学的に信頼されない曖昧模糊とした数値目標を掲げて、緊急事態を前倒し解除しようとしているが、一向に増えないPCR検査の結果をもとに算出した、感染者数や死亡数に基づいて、1週間の新規感染者数が0.5人以下などという数値目標にどれだけ信頼がおけるのか、甚だ心許ない。全世界で500万人を超える感染者数が今も増え続ける中、桁違いに少ないPCR検査数にもかかわらず、死亡者数の少ない日本の対応は海外から見て、全く理解ができないやり方で「奇妙な成功」と思われている。


これまで繰り返し、PCR検査の必要と抗原検査、抗体検査の必要を説いてきたが、医療体制の保護と検査システムの目詰まりで一向に検査数の分母は十分な数に達していない。山中伸弥教授が繰り返し発信されているように、大学や民間にはPCR検査のできるところがいっぱいあるのに、厚労省と文科省は協力して検査を増やそうとしてこなかった。医学会もいまだに白い巨塔だ。正しいリーダーが不在ではポテンシャルが豊富でも機能しない。習近平訪日とオリパラに惑わされて、初動で対応を誤った厚労省と専門家会議の対応は修正がきかない。寄せ集めの専門家会議は議事録も取ってないというから驚きだ。日本の実情を見ないで海外のステイホームをオウム返しのように繰り返し、自粛を過剰に押し付ける東京都も似たり寄ったりだ。自粛解除は急がれるが、実態を反映した確かなデータに基づいた専門家の判断によって決定されるべきだ。そのためには圧倒的に検査の数をふやすしかない。


東大先端技術研究センターの児玉龍彦教授は、新型コロナについての最新のデータと知見を、経済学者の金子勝との対談形式の動画のシリーズで発信しているが、その最新版では新型コロナの恐ろしさと正しい対処の仕方が語られている(「コロナと闘う戦略図~見えてきたウイルスの正体と闘い方【新型コロナと闘う 児玉龍彦×金子勝】20200516」)https://www.youtube.com/watch?v=8crwEQN_DbA

「児玉龍彦さん(東大先端研がん代謝PT)と金子勝さん(立教大特任教授)にうかがう最新の新型コロナ情報。なんと、日本人を含め東アジア沿岸部は、SARS以降に今回のウイルスに根幹の似たウイルスに暴露し免疫を持っている人が多いのかもしれないという仮説が出てきました。そして、ウイルスの特徴から感染後に重症化する人を見分けてケアし、軽症者の重症化を防ぐ手立ても見えてきました。…」


この動画の中で新型肺炎のステージ別治療の要点が、抗ウィルス剤のアビガン(錠剤)、レムデシビル(点滴)、アクテムラ(免疫抑制剤)を使って科学的に説明されている。

これを見ると前回紹介した赤江珠緒さんの治療例が理にかなっていることが確認できる。このシリーズの動画中の図解はわかりやすい。時間のある向きは順に視聴するとコロナリテラシーが向上することは間違いない。



閲覧数:39回1件のコメント

1 Comment


繁 大村
繁 大村
May 23, 2020

配信ありがとうございます 興味津々で読ませていただきました 続報をよろしくお願いします☺

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