コロナリテラシー3 PCR検査と抗体検査
- クレマチス
- 2020年4月23日
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20200423
連休明けまでということで、辛抱を続けているが、多分緊急事態が5/7に解除されて、宣言以前の生活に戻ったり、経済がV字回復というシナリオはあり得ない。コロナ以前の世界に復帰することはもうないだろう。
アベノマスクの混乱は新型コロナの感染拡大に似てとどまるところをしらないようだ。
厚労省は、妊婦向けの布マスクに、「変色している」「髪の毛が混入」「異臭がする」などの報告が相次ぎ、80市町村で1901件の報告があったと発表。相次ぐ異物混入などの発覚を受け、各都道府県に注意喚起の通達を出し、一部の業者が製作したマスクについては全品回収を始めた。マスクの製造企業名などは公表されていないが、政府関係者によると、国内の商社など納入業者5社が中国やベトナム、ミャンマーから調達している。
…その後、野党が受注先を公表するよう求めて、「受注企業3社と契約額を明らかにした。興和、伊藤忠商事、マツオカコーポレーションの3社で、契約額はそれぞれ約54・8億円、約28・5億円、約7・6億円で計約90・9億円だった。…政府は布マスク配布に充てられる予算額は約466億円で、内訳は配達費128億円、マスク調達費338億円と説明している。福島〔瑞穂〕氏はツイッターに「3企業を合わせても90・9億円で少ない。また、4企業と言っていたのに3企業という疑問はある」と書き込んだ。(毎日新聞2020年4月21日)
アベノマスクの不始末はきりがないが、やっと決着をみた10万円の一律支給もまだまだ問題山積だ。しょぼくて遅い。大出血をして緊急輸血が必要なのに絆創膏で何とか止血を図っている印象だ。この国の指導者には今起きている世界的大変動の実相が一向に見えていないようだ。初めから予想されたことだが、残念ながら最悪のコースをたどっている。
さて、3周遅れくらいの日本のコロナ対応だが、専門家会議の懸命の努力で辛うじて全面的な医療崩壊を免れているが、なかなか感染拡大に歯止めがかからない。医療施設の各所でクラスターが発生して関係者の疲労も限界に近いが、いくらか光明が見えてきた部分もある。
経済優先の基本戦略から、PCR検査に制限を加えて統計数字を低く抑えるように管理し、感染経路を人海戦術のパッチワークで調べ上げ、クラスターつぶし一点張りだった専門家会議などの推進する診断・隔離・治療政策の限界が見えてきて、PCR検査や抗体検査を拡大して感染者の実態を把握しようという動きが出てきた。
葛飾区でも、感染の疑いのある人がPCR検査を受けるための専門外来の予約が一杯で、駐車場にテントを張って簡易ドライブスルー式の臨時の検体採取場が設置された(TBSニュース)。22日には都内で初めて江戸川区でドライブスルー方式のPCR検査が始まった。コロナリテラシーの第1回からPCR検査については、ずっと問題にしてきたが、ようやく風向きに変化が起きているようだ。小此木潔上智大学教授の「コロナ検査不足が医療危機を生んでいる」という記事を引用しよう。
「4月17日に記者会見した東京都医師会の尾崎治夫会長は、感染を調べるPCRセンターを都内47カ所に設置していくことになった理由について、「コロナ(感染者)と思う患者がいても、相談センターに連絡しても電話がつながらないし、新型コロナ外来の病院にお願いしても病床が満杯で、PCRもできない」「感染している疑いのある⼈を拾い上げてきちっと交通整理しないと感染の予防もできない。私ども、地域医療を担うかかりつけ医が協⼒して、PCRセンターを作ろうという思いに達した」と説明した。(Yahoo!ニュース)。…
検査を絞り込んできた政治家や官僚、専門家たちにいつまでも任せていたら医療崩壊が起きかかってしまったからこそ、地域の医師会は必死の思いで動き出したのである。
ドライブスルーやウォークスルー検査施設の全国展開、民間検査会社の全面的活用、検査キットの早期配備、地域ごとの検査センターの設置、ホテル以外の宿泊研修施設など隔離施設の確保、アビガンなどの早期投薬による重症化の阻止、人工心肺装置や人工呼吸器の確保と増産、マスクや防護服など医療・介護従事者を守るための装備の充足…これらは自治体や地域の医師会で勝手にやってくれといわれてできるものではない。政府が許認可や費用負担も含めて最大限努力しなければならないものだ。深刻化しているコロナ危機のいま、それができないのなら、政府が存在する意義は一体どこにあるのか。」(「論座」2020年04月21日)
抗体検査については、その精度や抗体の種類の特性や免疫力との相関性についての未知の部分もあるが、ウィルスに対する集団免疫の形成でウィルスを抑え込めるかどうかの重要な判断材料の一つである。
「加藤勝信厚生労働相は17日の記者会見で、新型コロナウイルスの流行状況を把握するため、抗体検査に着手すると表明した。…厚労省は月内にも始められるように準備を進めており、対象地域や規模を詰める。…抗体検査は少量の血液を採取し、感染を経た後に体にウイルスに対する免疫が備わったかをみる。簡易検査キットを使って短時間で結果が出る。…抗体検査を実施すれば、どのくらいの割合の人がすでに感染したかを分析できる。すでに実施しているPCR検査はウイルスの有無から感染しているかどうか診断するために用いる。抗体検査は感染履歴を調べるもので検査の目的は異なる。加藤氏は「PCRとうまく組み合わせながら、よりよい運用の仕方、診断の効率化などを図っていく必要がある」と強調した。…」(日経電子版、2020/4/17)
「ニューヨーク州のクオモ知事は19日、全州で新型コロナウイルスについての抗体検査を始めると表明した。20日から1日に2000人のペースで検査を始め、市民の免疫状況を調べる。…早期の経済再開をめざすトランプ米政権に対し、クオモ氏は「再開時期はデータによって判断すべきだ」と指摘。全米で最大規模の抗体検査を実施し、再開時期を探る方針だ。」(日経電子版、2020/4/20)
日米とも経済再生のための出口戦略のため抗体検査を前のめりで実施しようとしているが、まだ免疫に有効な抗体の種類や性質についての研究は蓄積されていないので各国の抗体検査の実施データをよく研究する必要がある。抗体の種類や量によっては、かえって重症化する例もある。

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