20200403
新型コロナウィルスが爆発して、世界で100万人が感染、死者は5万人を越え、イタリア、スペイン、アメリカは医療崩壊の危機に瀕している。日本も大都市では感染拡大が加速して先の見えない状態。いつ非常事態宣言が出されて、首都が封鎖されるか不安でいっぱい。
パンデミックのさなかにあって外出禁止の東京は花の見ごろ。どうしたものやら、みんな困っているのにアベノマスクで失笑を買っている政府のピンボケ対応は絶望的。予期したこととはいえ、この国ではやっぱり自力更生あるのみ。そこで新型コロナ(COVID-19)についてこれまでに分かったことを整理しておこう。
C19は細菌より小さなウィルスで、単独では自己増殖できない生物以下の存在。人間などの宿主の細胞内に潜り込んで宿主のRNAなどを利用して増殖するのはインフルエンザウィルスなどと同じ。運動能力を持たないから、武漢の市場から世界に拡散させたのはすべて宿主の人間の活動による。つまりグローバリズムのなせるわざといえる。
ウィルスのなかではインフルエンザウィルスなどと比べて分子量が大きいので、飛散しても2m以内に落下する。従って、当初空気感染はなく、飛沫感染と接触感染によるとされていた。唾の拡散を遮断するために(高機能でなくてもよい)マスクをつけ、接触感染を防ぐための手洗い消毒が推奨されていた。コロナウィルスは人の細胞にとりつくためにエンベローブという脂質の膜をまとっているので、エタノールや洗剤で消毒するのが有効なのだ。
その後感染経路のデータが蓄積されて、エアロゾル(微小な空気中で浮遊できる粒子)感染によるクラスターの発生が多く指摘されるようになった。これについては、ちょっと難しいが感染症の専門家と称する人でも怪しい解説をする人もいるので、信頼できる専門家の説明を引用しよう。新型コロナウイルス感染症の治療薬(ワクチンではない、今のところ、タミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、投与が検討される医薬品という位置づけで新型コロナウイルスのためだけに開発されたものではなく、すでに備蓄があり、政府の指示で大増産にかかっている)の候補ファビピラビル(商品名:アビガン)を開発した富山大学名誉教授白木公康氏の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察」(日本医事新報No.5004 (2020年03月21日発行))から。専門家向けの論文だが、具体的で分かりやすい部分をセレクトしてみよう。
「インフルエンザウイルスを含む多くのウイルスは乾燥して感染性を失う。したがって,コロナウイルスはインフルエンザ同様,エアロゾルが乾燥する距離である2m離れたら感染しないと思われる。しかし,湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する。…注意すべき点は,湿気の高い密室では2m離れていても,くしゃみや咳だけでなく,呼気に含まれる1μm程度のエアロゾルさえ感染性を保持して浮遊し,吸気によって上気道または下気道で感染するということである。…部屋の加湿は気道には優しいが,呼気や咳・くしゃみにより生じたエアロゾル中のウイルスの乾燥を妨げ,感染性を保持しやすいことになるため,湿度を上げすぎないことに留意するべきである…
ヒト呼吸器コロナウイルスの潜伏期間は3日で,鼻汁の多い,ティッシュの山ができるような鼻かぜを生じる。この感染様式は,くしゃみで感染するというより,ティッシュで鼻をかむ際に鼻を触った手がウイルスで汚染され,その手でドアノブなどの物を触り,そこに付着したウイルスが物を介して別の人の手にうつり,その手を顔面にもっていくことで感染(fomite transmission)が成立する。物の上でどれぐらい感染性が保持されるかについては,従来3時間程度と言われてきたが,中国SARS対策委員会では,プラスティックなどの表面で3日程度,痰や糞便では5日,尿中で10日としている。…このように,鼻汁や気道粘膜からの分泌物など粘性のある生体成分に包まれた状態では,表面が乾燥しても内部のウイルスの乾燥は限られ,感染性は安定しているようである。…見かけ上乾燥していても…物を介する感染を防ぐためには,「顔に手をもっていかない(特に鏡の前で無意識に顔面や毛髪を触ることに注意)」「手の消毒や手洗い」が重要と思われる。…
PCR法は分離による感染性ウイルスの検出より,約100~1000倍感度が良いので,主要症状消退後のウイルスの検出は,感染性と相関しない。そして,PCR法では,回復期には陽性陰性を繰り返し,徐々にウイルスは消えていく。
再感染の時期については,粘膜感染のウイルスは,粘膜の免疫が一度産生されたIgA抗体の消失まで約6カ月続く。そのため,3カ月までは再感染せず,6カ月ぐらいでは再感染するが発症せず,1年経つと以前と同様に感染し発症するとされる。
潜伏期間の長い麻疹,水痘,風疹などは,子どもの感染で親の抗体価は上昇するが,発症しない。すなわち,粘膜感染し免疫が誘導され,発症に至る前に免疫で抑え込むためである。一方,潜伏期間の短い粘膜感染のコロナウイルス,ライノウイルス,RSウイルスなどは,粘膜免疫の誘導前に発症してしまうので,IgA抗体が消えると再感染し,発症することになる。
最近,COVID-19回復後に陰性化したが,1カ月程度の間に,ウイルスがPCR法で検出された例が報道されている。これは,コロナウイルス感染では不思議な現象ではない。ウイルスの完全消失までの経過で多くみられ,再感染は合理的に考えにくい。
さらに,COVID-19は,物を介して上気道で感染する場合と,エアロゾルで下気道・肺胞で感染する場合が考えられるが,鼻咽腔での検出が悪く,喀痰で検出できる場合には,下気道でウイルスが感染したと推測できる。…
COVID-19に感染した場合に備えて,肺炎を早期に発見するためには,毎日検温をして平熱を把握し,発熱のチェックをする。4日以上持続する発熱は鑑別できる発熱性疾患が限られ,COVID-19のサインと思われる。発熱後8日で呼吸困難が出る。
発熱後5~6日ごろの病初期では,階段上りや運動など酸素必要量が多い時のみ,息切れを感じる。この労作性呼吸困難(息切れや呼吸回数の増加)により,肺障害を早期に推測し,治療に結び付けることが重症化を防ぐために重要であると思う。その際に,画像診断とPCR法で確定できる。」
少し補足すると、最近阪神の藤浪晋太郎投手の勇気ある申告で嗅覚・味覚の異常がこの新型コロナウィルス感染の特徴であることが報告された。
アベノマスクは医療関係者のマスクを優先させるために一般家庭は繰り返し利用できる布製マスクで我慢せよというメッセージのようだが、専門家でも布製マスクの危険性を指摘するものがある。予備費だろうが税金を使うべきではない。
何よりもPCR検査を開放するべきだ。今のように分母を管理しながら、日々感染者数や死亡者数の棒グラフを諸外国と比べてみても意味はない。
PCR陽性=感染者だが、PCR陰性は感染者でないことを保証するものではない。
外出イコール濃厚接触を意味する諸外国のように外出禁止令を発動するのは日本は不適当。
新型コロナウイルスの特性をよく理解すれば、日本なりの正しいルールが決められるはず。
人の動きをとめて経済を失速させれば、コロナで死ぬ前に経済で死ななくてもよい人が死ぬ。
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