5月28日(日) やや曇り予報
昨日の午後冷やし中華を作って食べた。
一息入れてから読み出した本が面白かった。
酒恋うる話:佐々木尚子編:鎌倉書房: 1979年7月初版発行
並み居る作家たちが原稿用紙5枚分だけ酒にまつわる方話を開陳するのです
モザイクのように様々な人生模様が酒との関わりの中からストレートに伝わってきて、心地よい、、何言ってんだか。
下戸の小林久三が書いた一文が載っていたので引用します
56〜 59ページ
オホーツクでの氷見酒
下戸の私が、酒をほんとうにうまいな、とおもって呑んだことが、これまでニ度ばかりある。一度は江戸川乱歩賞をもらった晩に、妻とともに呑んだとき、もう一度は、ニ年前に網走の流氷のうえで編集者とくみかわしたときである。
後の話を書こうと思う。…中略…
眠った海を眺めているうちに、私も休息したい、とおもった。海を眺めている以外の時間は、呆けたように眠った。編集者も、酒を呑むほかは、布団にくるまって眠り続けている。
旅の終わる日、私は編集者とニ人で凍りついた海を歩いた。雪の降る寒い日だった。憑かれたように、ニ人は海岸線から沖合めがけて、ぐんぐん歩いた。ニ、三百メートルは歩いただろうか。
視野に入ってくるのは白一色だった。降りしきる雪に、すべての音を吸いとられたかのように、あたりは森閑としている。物音ひとつきこえない。いい知れぬ寂寥が胸のなかにも降りこんできた。
「寒いですね」
編集者がぽつりといい、コートのポケットに忍ばせてきた、ワンカップの酒を取り出して呑んだ。ぐい呑みし、顎に垂れたひとしずくの酒を眺めたとき、私は不意に呑みたいという衝動に駆られた。熱いコーヒーよりも、酒のほうがはるかに旨いように感じられたのだった。
「おれにも呑ませろよ」
私は編集者の手からワン・カップの酒を奪いとった。
「どうかしたんですか?」
編集者は怪訝なおももちで私をみた。
私は酒を呷った。
引用以上。
この時に飲んだ冷酒がうまかったいう話でした。多分呑平が聞いても良い話だなぁと思ったと思います。思い出はたくさんあるから良いというわけではない。うまい酒が呑めた、たったそれだけの話なのに何故かうらやましい…。
(実を言えば…僕は最近になってやっと日本酒がおいしいと感じるようになってきたのです。1年に1度位はキリッと冷やしていっぱいだけ飲むのも好きですが、大体は燗をつけて飲みます、食べながら飲むのは幸せですね)
このほかにも名前だけは聞いたことがある作家たちが次々に原稿用紙5枚分のコメントを寄せているのをお酒を呑みながら読むのは、ぜいたくな感じで、ちょうど良いリズムを作ってくれます。不思議なことに作品を知らない作家なのにコメントを読むとあぁこの人らしいなぁと思うのです。一体僕ははこの人の何を知っているというのだろう、短文なのに人柄が滲む文章の妙味。
夜、近所の丼丸の540円のおまかせ海鮮丼をお酒を飲みながら読みこの本の半分ぐらいまで進んだところで眠くなってきたので片付けて眠ることにしました…あぁ美味しくて面白かった。
何が面白かったって… 旧世代の人たちつまり僕でもなんとなく理解できているような感じがする人たちの文章を読むことが快かったからだと思います、、
長寿命、と言ったって100年足らずの人生ですが、100年間が激変でない時代なんてあるわけないことを思えば、誰の人生もドラマチック!そう思ったほうが絶対面白い。
(窓下の路地にお馴染みの縞模様の地域猫がある時間帯だけ格納箱の上に鎮座している。餌をもらうのを待っているのだ。
最近もう1匹古びた太ったシャム猫風の貫禄のあるロマンスグレーの猫が日差しを避けて寝そべるようになった。その間もう1匹はどこかに出かけているようだ。
目が合えばニ匹とも僕にガン(眼)を飛ばしてくる。言葉を交わしたい衝動に駆られるが、なかなかチャンスがない。多分僕が二階から見下ろす形になるので…その上から目線が気に入らないせいで心を許さないのだと思いました)
私はコロナのワクチン注射をして以来、アルコールを一切摂取できなくなりました。2020年の秋にドイツに戻るまでは日本でもビールやカクテルなどは、多くはないけれど呑めていました。2021年にも、お正月や春先のお祭りでちょっとはワインなど飲んだのですが。
それが21年の5月、7月、12月と三度の接種を済ませた時期から、アルコール類が全くダメになり、飲むとひどい頭痛と吐き気がするようになりました。夜にうっかりビールなど飲むと翌朝は頭痛で起き上がれません。(幸い、それは昼までには納まるのですが。)
ワクチン接種でアルコールへの耐性が無くなったという話は聞いたことがないので、周りの人も信じてくれませんが、ひょっとして数ある副作用の中にその種の弊害もあるのではないでしょうか。特にアルコール消化酵素が少ないと言われるアジア人の場合。