1月 24日(火)小雨のち曇り…今晩寒波襲来
欄間、、これは使い慣れて手入れされた彫刻刀と職人さんとテーマ(鷹と松)がぴったりと合致したからこそ刻み込まれた熟練の技。松と鷹、よくあるテーマらしい。凝りに凝った仕上げよりざっくり仕上げた即成のようなこんな仕事が僕は好きです。
墨痕の跡ならぬ、鑿と彫刻刀の切れ味鋭く、奮った刃物の勢いの緩急よろしきを得てこその職人の息吹を伝える逸品だと思いました、それぞれの鷹が、単なる図象に陥いらず、吹き込まれた生命力が気に入りました。細部は見る方で想像してくれという突き放し、細工を見てくれというのじゃないぞ、俺の力を見てくれ、どうだ参ったか…そんな声が聞こえました。これを仕上げたときのその晩のいっぱいはうまかったろうなと思いました。
こうして、今に残って見られるのはまったくありえないただの幸運で偶然に過ぎない、もったいぶった銘を打つことなんか、てんから頭にない市井のご近所の名無しの権兵衛名人(聞いて歩けばおそらくわからないこともないだろう、というか作業場の近くにケヤキの家具を作る木工所があるのでそこで聞けば多分わかるだろうけど
、、僕にその気ゼロ)、生きて刻んだ命の証、出会えてよかった、かっこいいです、ありがとうございます😊
(昨日は台所に置く棚を作るつもりでいましたが…いろいろ考えた末めんどくさくなっちゃって…結局作業場に残っていた立派な古い板を活かし、リサイクルセンターで買った家具と組み合わせて固定しました、ちぐはぐな感じが僕自身のようで愉快…あはは、写真はそのうち)
(写真とおまけは後ほど… )
おまけ
俳句メモ 虎耳草ゆきのした(季語ではありませんが冬でも雪の下でも元気なことからこの名があるようです)
冬過ごせ俳句をダシに暇つぶし
駄句故に怒る人なし冬の朝
冬を詠む俳句念じて床の中
冬詠んだ俳句始めて背を伸ばし
瞑想の入り口に居て冬を詠む
冬の朝眠気を誘う俳句かな
起き抜けに一句思えど寒さ負け
寒中の水泳思い暖を取る
俳句とは何はともあれ冬便り
瞑想が迷走誘う冬ごもり
大寒波眠い目擦る🥱夜明けかな
生まあくび冬噛み殺すひと唸り
生欠伸噛んで殺して冬の朝
目をつむり鼻水垂らす今朝の寒
冬が行く肩凝り緩む暖の前
冬将軍思いはめぐる里の冬
冬将軍鉄管凍る目覚めかな
起きてなお眠気は冬のお友達
ぐずぐずとストーブ前の眠気かな
ただ過ぎる時間の波の冬ごもり
やる気待ち時間過ぎまで冬ごもり
会いに行く重い腰上げ君が冬
冬と会う重い腰上げさて行くか
冬越せば春が来るこそ平和かな
(冬が過ぎても安心できる春が来ないところもある)
ため息の俳句を許せ子規と虚子
冬と居て遊ぶぞ友の来ない路地😅
こんなふうにしてやる気を起こしています…暇人序の口
こんな風にやる気を起こしています、は私も同じですよ、ご同輩。
「冬を詠む俳句念じて床の中」も同じ。寝つきが悪いときは私も句の種を考えます。問題は翌朝になるとしっかり忘れていること。
そうそう、「冬将軍」って季語になるんだ、と知って、ちょっと面白くなりました。
・冬将軍露も烏も共に苦しめり
ナポレオンをロシアから撤退させた冬将軍。今はそのロシア自身も烏(ウクライナ)も苦しんでいる。
・冬将軍たまには南に出陣す
四国・九州も寒波に襲われ、雪に慣れていない地方は奇襲攻撃に会ったような気分でしょう。
・冬将軍人来ぬバス停引き揚げる
誰も相手にしてくれないと、冬将軍だって詰まらないと思う。
「目をつむり鼻水垂らす今朝の寒」
鼻水で思い出したんですけど、私の方はこんな句を。
・寒の入り洟垂れ小僧稀となり
昔は洟、あかぎれ、しもやけ、よく見かけたものですが。
子規と虚子の話が出て、「待ってました」というところです。最近再読した子規の本(森まゆみ「子規の音」)にちょっと凄い句があります。「人くずの身を死にもせで夏寒し」当時もうすでに結核・脊髄カリエスで命旦夕に迫ることを知っていた(食欲はいつも旺盛だったそうですが)。そんな自分を人くずの身と称す。
慰めようもない境遇ながら黙っていられなくて、まさに「念じた」のが
・花も人も美しき季(とき)ありて散る
芸術家は不思議にもその力を出し切ったときに逝く、と誰かが言っていますが、子規の場合にもそれはぴったり当て嵌まると思います。
うーん、、トランサム…納得ですね、西洋と東洋の連動、どちらの部屋も滞在者に快い緊張を与えてくれます、、植物の連想が面白いなと思いました、貴重でわかりやすい同定に感謝感激です、ありがとうございます、意外なところから漏れてくる光にやんわり反応するびすこさんの俳句の間の好さ、、恐れ入りました😌
あ、今やっと写真がアップできました…ついでにおまけも…単なる賑やかしです😅
欄間は英語でトランサムと呼ばれることを知ったのは、アメリカ人の建築家の仕事を手伝っていたときです。調べると、欧米の欄間は日本のとはちょっと趣きが違うのですが、プライバシーを守りながら通気をよくする(昔の暖炉などの温度を隣室にお裾分け?)という機能があったようです。ついでに採光も。日本の家、例えば自分の実家などでは、南側の明るい部屋と北の暗い部屋を襖で完全に遮断しないために設けられたように思っていました。
トランサム(transom)という言葉は、横切るとか横断するという意味のtraverseから来ているらしい。有名なのはロンドンのダウニング街十番地(首相官邸)の入り口ですが、部屋と部屋の間のトランサムにしても、なぜかアールヌーボー風のデザインが多いですね(写真1)。
英語のtransomについてウィキで調べていたら、日本の欄間の紹介もあり、それが何と高知城の欄間でした。何度か行っているのに見たことがないのですが、これ、傑作だと思います。
へぼ俳句を一つ
・欄間より春燈漏れきて寝返りす びすこ
南側の座敷にお客さんが泊っていたときの経験から。