赤ちゃんは どこから来るの?
S ・M・グルエンベルグ著:村岡花子訳:あすなろ書房1967年6月再版刊
1ページ目を開いたとき子供の気持ちで字面を追いかけました、5、6歳のぼくでももし字が読めたらよくわかった思います、親がゆっくり読んでくれたら親の顔と絵本の絵を見比べながら納得していったろうと思います。親が安心して読んでいるのに子供の僕が安心しないわけがありません。次のページを開きました…今度もゆっくり聞かされればよーくわかると思いました、大人の僕は感動しました🥲。
たったこれだけで僕らが最初本当に針で開けた穴よりももっと小さな小さな小さな点であったこと、これから始まる物語でその点が何であるか解き明かされて行くワクワクするような期待が高まります、きっと子供だったら誰でも…。大人だって子供の気持ちになってベストを尽くして物語るだろうと思いました。この本の裏表紙の表に…この本の使い方が書いてありました、3、4歳の時はこう、、6、7になればこう、、11歳から12歳位の子供たちには…。
子供の成長に合わせてゆっくり大人も、子供の理解を、理解していく姿勢、大人も子供と一緒に成長していく。
この本を使ったご両親はもういいお年だろう。おそらくはその方が1週間ほど前立石図書館のリサイクルコーナーにこの本を立てかけた、その後僕がこの本を見つけて…ありゃ〜珍しい本があるなぁ、、と言ってもらってきた本でした。子供が居るとか居ないとかそういう話ではない。自分が母親のお腹の中にいた頃のことを思い出すための本。不用意に、あ、つまり構えることなく、うかうかと?虚心坦懐にこの本を手に取り、読み始めれば地上50センチ位の子供の目の高さに姿勢を合わせている自分が見つかる…そんな本だと思いました。

目利きのいちまるさんの名著発掘、毎回楽しませて頂いている「イモヅルシキホンノキ」でもベストワンだと思いました。
これ、笑ってしまいました。あ、その前に、これはろれちゃんがファンの村岡花子の訳なんですね。
私も子供の頃によく同じ質問をしました。母親には答えられるはずがないと子供心に分かっていたので、父親に尋ねると「お母さんの細胞とお父さんの細胞が合わさって、そこから赤ちゃんができる」と言うのです。そして細胞なるものについても説明してくれたのですが、ではどうしたら「細胞が合わさる」のかという質問には答えられない。一緒にいると細胞がくっつくの?まあ、そんなもんかな。じゃ、私とコウちゃんはずっと席が隣り合わせだけど、そのうち私たちの細胞がくっつくの?沈黙・・・私、「ねえ、何か、一番大事なことを言ってくれてないみたい」父母は顔を見合わせ、さあ、さあ、もう寝て。
それとは別に、私たち同年輩の田舎の子供のあいだで流行したのが、自分はどこから「拾われて来た」のかという話。私の場合は「橋の下」で、これは一番多かった。「あら、あんたも」と言ってみんなで笑いました。傑作はカズちゃんで、お母さんが「お前は荒神様(農業の神様)の神社でスルメ二枚と交換して連れて帰った」と言ったんですって。このスルメ二枚というのが、みんないたく気に入ったのでした。親は子供を馬鹿にしたつもりだったのでしょうが、子どもの方が親を馬鹿にして楽しんでいた、というのが実情です。