もうひとり夫が欲しい:パク・ヒョンウク著:蓮池薫訳:新潮社2008年3月発行
韓国のベストセラーだったらしい。蓮池薫さんの翻訳というのも気になったし、題名にも惹かれて図書館から借りてきました。重婚と言ってしまえばみもふたもありませんが、複数のパートナーと暮らしていても問題にしない人たち:ポリオアモリストの可能性について少しずつ説得されるスリルがあります。この本の後ろのほうにある「家族」の項から、話が早いので引用いたします。
292〜294ページ
ロバート・ハインラインが1960一年に発表した小説「異星の客」
(Stranger in the Strange Land)はSF史上最高のベストセラーといわれる。小説の内容はこうだ。地球に来た火星人であるヴァレンタイン・マイケル・スミスは、地球の戦争と混乱がすべて性的な争と嫉妬心に起因していると考え、これを解決するために結婚制度をなくすよう人々に教え、共同体を作らせるが、暴徒たちはこの共同体を襲撃してスミスを殺す。
果たして性的な争いと嫉妬心がなくなれば、戦争もなくなるのだろうか。
1998年、アメリカライフスタイル協会のスポークスマンであるスティーヴ・メイソンは、「LAタイムズ」でこう主張した。「我々は国連をスウィンガー(フリーセックス主義者)協会に変れば、世界中のすべての問題が一度に解決すると思う。今しがたまでともにオルガスムスを感じていた人たちに爆弾を落とすことなどできるはずがないではないか」
儚い(はかない)の主張のようにも思える、この言葉を実践しながら生きている集団がいる。ピグミーチンパンジー、あるいはボノボチンパンジーとして知られるボノボは、チンパンジーとは種の異なる霊長類だ。霊長類学者フランス・ドゥ・ヴァールによれば、大部分のチンパンジーはオスのリーダーが群れを強力に支配してメス独占するが、ボノボは母系制のとても平等な集団をつくって暮らしているという。
地球上には、種族の繁殖と関係のないセックスをする動物が2種類いる。ひとつは人間であり、もうひとつはボノボだ。ボノボは正常位をはじめとして人間が行うすべての体位ができる。また舌を使うフレンチキスもするし、オナニーも、同性愛もする。セックスに関する限り、人間とはほとんど変わりない。違う点は、ボノボがえさやセックスのことでは喧嘩しないということだ。いざこざが起きそうになるとセックスをする。食べものを発見すると、ボノボはそれを手に入れようと喧嘩する代わりに、いっせいにセックスを始めるのだ。セックスはえさに対する注意力を分散させ、緊張を緩和させる。セックスが終わると、えさを仲よく分け合って食べる。ボノボはセックスを繁殖と快楽の目的だけでなく、日常的な愛情の表現として、また和解の手段として使っているのだ。集団のほとんどすべてのメンバー間でセックスが行われる。ただし親子間のセックスは行われない。メスは成長すると群れから離れ、ほかの集団に入っていく。その結果、近親交配は行われない。
人間とボノボ、そしてチンパンジーのDNAの差は、2%にもならない。学者は600万年前に同じ先祖からこの3種が分かれたと見ている。チンパンジーは人間と同様に同族間でも破壊的な戦争を繰り広げ、力の強いものが弱いものを暴力的に支配し、頻繁に幼児殺害を行う。ボノボはそうではない。だからといって、チンパンジーは暴力的だから悪く、ボルボは平和的だから理想的な種というわけではない。ニ種の習性はともに、長い期間、種族保存のために行われてきた自然の選択の結果だからだ。
でも人間は違う。どちらかを志向するかは、自らの意思で選択できる。引用以上。
(※たまには他の星にでも行ったつもりになってこんな小説を見るのも悪くないなと思いました。上の文章を見ながらちょっと前に見た北海道の人間の集落に現れたヒグマのカップルが遠巻きにしている人間の目の前で堂々たる後背位で大地を揺るがすようなピストン運動をしているNHKの報道番組の画面を思い出しました、僕は危うく感動しそうになりました…というかそのおおらかさに涙が出そうになりました、余談、、ついでに…前にも言ったかもしれませんが20代前半の頃身近にいた女性が…私ね… 3回ぐらい結婚したいな…と、のたもうた、、あっそう、と納得しそうになった僕も僕、まだ付き合ってもいない人に向かってそういう彼女も彼女、あはは、他意はなく、さらっと言い放ったむしろ純朴そうな人が意外なことを口走ったのではっきり覚えています、2人とも若かった…あはは)
さてこの小説はサスペンス小説ではないので話のいきさつを簡単に述べてもルル違反にはならないと思いますので…僕の感想を、、夫婦の間に割り込んでくるもう1人の男性の存在がなかなか面白いなと思いました。3人の世間的にはただならぬ関係の緩衝地帯になっているのです。僕の憶測では著者は、この優男(やさおとこ)が物語全体のエロキューター引き回し役になって、やすやすとはどちらの男にも感情移入を許さない、、なんて知ったかぶりしてます、、サッカー好きならなおさらこの方がお勧めです。名だたる世界の名選手が話の進行に従って参考文献?エピソードとして次々に出てきて現実感とのバランスが取れるように構成されています(偉そう😜)、、ま、僕自身のボロが出ないうちに、今日はこの辺にしておきます、、頭の中をガラガラポンすることはできないまでも…参考文献?(著者は哲学科専攻)にはなると思いますのでお勧めします!
もうひとり夫が欲しい:パク・ヒョンウク著:蓮池薫訳:新潮社2008年3月発行
韓国のベストセラーだったらしい。題名に惹かれて図書館から借りてきました。重婚と言ってしまえばみもふたもありませんが、複数のパートナーと暮らしていても問題にしない人たち:ポリオアモリストの可能性について少しずつ説得されるスリルがあります。この本の後ろのほうにある「家族」の項から、話が早いので引用いたします。
292〜294ページ
ロバート・ハインラインが1960一年に発表した小説「異星の客」
(Stranger in the Strange Land)はSF史上最高のベストセラーといわれる。小説の内容はこうだ。地球に来た火星人であるヴァレンタイン・マイケル・スミスは、地球の戦争と混乱がすべて性的な争と嫉妬心に起因していると考え、これを解決するために結婚制度をなくすよう人々に教え、共同体を作らせるが、暴徒たちはこの共同体を襲撃してスミスを殺す。
果たして性的な争いと嫉妬心がなくなれば、戦争もなくなるのだろうか。
1998年、アメリカライフスタイル協会のスポークスマンであるスティーヴ・メイソンは、「LAタイムズ」でこう主張した。「我々は国連をスウィンガー(フリーセックス主義者)協会に変れば、世界中のすべての問題が一度に解決すると思う。今しがたまでともにオルガスムスを感じていた人たちに爆弾を落とすことなどできるはずがないではないか」
儚い(はかない)の主張のようにも思える、この言葉を実践しながら生きている集団がいる。ピグミーチンパンジー、あるいはボノボチンパンジーとして知られるボノボは、チンパンジーとは種の異なる霊長類だ。霊長類学者フランス・ドゥ・ヴァールによれば、大部分のチンパンジーはオスのリーダーが群れを強力に支配してメス独占するが、ボノボは母系制のとても平等な集団をつくって暮らしているという。
地球上には、種族の繁殖と関係のないセックスをする動物が2種類いる。ひとつは人間であり、もうひとつはボノボだ。ボノボは正常位をはじめとして人間が行うすべての体位ができる。また舌を使うフレンチキスもするし、オナニーも、同性愛もする。セックスに関する限り、人間とはほとんど変わりない。違う点は、ボノボがえさやセックスのことでは喧嘩しないということだ。いざこざが起きそうになるとセックスをする。食べものを発見すると、ボノボはそれを手に入れようと喧嘩する代わりに、いっせいにセックスを始めるのだ。セックスはえさに対する注意力を分散させ、緊張を緩和させる。セックスが終わると、えさを仲よく分け合って食べる。ボノボはセックスを繁殖と快楽の目的だけでなく、日常的な愛情の表現として、また和解の手段として使っているのだ。集団のほとんどすべてのメンバー間でセックスが行われる。ただし親子間のセックスは行われない。メスは成長すると群れから離れ、ほかの集団に入っていく。その結果、近親交配は行われない。
人間とボノボ、そしてチンパンジーのDNAの差は、2%にもならない。学者は600万年前に同じ先祖からこの3種が分かれたと見ている。チンパンジーは人間と同様に同族間でも破壊的な戦争を繰り広げ、力の強いものが弱いものを暴力的に支配し、頻繁に幼児殺害を行う。ボノボはそうではない。だからといって、チンパンジーは暴力的だから悪く、ボルボは平和的だから理想的な種というわけではない。ニ種の習性はともに、長い期間、種族保存のために行われてきた自然の選択の結果だからだ。
でも人間は違う。どちらかを志向するかは、自らの意思で選択できる。引用以上。
(※たまには他の星にでも行ったつもりになってこんな小説を見るのも悪くないなと思いました。上の文章を見ながらちょっと前に見た北海道の人間の集落に現れたヒグマのカップルが遠巻きにしている人間の目の前で堂々たる後背位で大地を揺るがすようなピストン運動をしているNHKの報道番組の画面を思い出しました、僕は危うく感動しそうになりました…というかそのおおらかさに涙が出そうになりました、余談)
さてこの小説はサスペンス小説ではないので話のいきさつを簡単に述べてもルル違反にはならないと思いますので…僕の感想を、、夫婦の間に割り込んでくるもう1人の男性の存在がなかなか面白いなと思いました。3人の世間的にはただならぬ関係の緩衝地帯になっているのです。僕の憶測では著者は、この優男(やさおとこ)が物語全体のエロキューター引き回し役になって、やすやすとはどちらの男にも感情移入を許さない、、なんて知ったかぶりしてます、、サッカー好きならなおさらこの本がお勧めです。名だたる世界の名選手が話の進行に従って参考文献?エピソードとして次々に出てきて現実感とのバランスが取れるように構成されています(偉そう😜)、、ま、僕自身のボロが出ないうちに、今日はこの辺にしておきます、、頭の中をガラガラポンすることはできないまでも…参考文献?(著者は哲学科専攻)にはなると思いますのでお勧めします!
この年なると男女の関係などもう『人類の関係』になってしまい、恋心なんてのも「そんなのあったなあ」程度なので、〈地球の戦争と混乱がすべて性的な争と嫉妬心に起因している〉と言われると、へえ、そうなんですか、と半信半疑です。(ただ、嫉妬心というのは分かります。だって老人ホームの住人すらも、誰が先に歩けなくなるか、誰が認知症になるか、みんな興味津々というから。そして怪我や呆けを逃れた人たちは、「だからね、いくらお金があったってしょうがないのよね」とか「ご主人の生前の地位とか、結局役には立たないんだわ」などと慰め合うらしい。)
ところでちょっと前に触れた平安時代のお化け話に関係して、小野篁という奇人・才人の妻は実は異腹の妹で、当時の貴族は夫が別々に住む何人かの妻のもとに通い、妻同士はもちろん子供たちも互いに顔を合わせることがないので他人と同じだったため、ふとした出会いから恋愛感情が生まれても不思議はなかったそうです。
近親相姦というのも、昔から興味を惹き起こす話題だったみたいですよ。