< 「ない仕事」の作り方 >
みうらじゅん著:文芸春秋: 2015年11月刊
昨日の夜町会の会議で、嫌な役が回ってきて、、そんな役やらない、そもそも私にそんな権利は無いと役員さんに言ったのですが…その場の雰囲気で私がやらなければ収まらないという極めて日本的な状況になって…ぶ然として雨の中帰ってきたのですが…面白くない。田辺聖子の「むかし・あけぼの」小説枕草子を読み出してここぞ王朝絵巻というべく男女の美しい衣々の描写が出てくるページがあり、清少納言じゃなくて、こんな現代語訳ができる田辺聖子に惚れそうになって…すっかりいい気持ちになっていたのに、興ざめしてしまった。
気持ちを立て直すために仕方なく表題の本、借り出せたので、読みだしました。適当に途中から開いてパラパラ見ていたら、111ページに、、、私はサッカーに全く興味がありません。ワールドカップも、いまだに何のことかよくわかりません。それは嫌いなのではなく、私にとってサッカーは「つけ入る隙」が全くないからです。、、、とあり、、、その言い方が気にいって、そのまま読み終えました。最初から111ページまでは、今朝読みました。読んで良かったなぁと思いました。町会への不満も雲散霧消していました。嫌な仕事を引き受けよう。(なぜそんな仕事を引き受けたかと言うと…僕が相談を持ちかけたときどういう表情を皆さんなさるんだろうと言う興味がむくむくと湧いてきたからです。まだ老け込んでいる場合ではない)。
そもそもこの本に出会えたのは…予約の本を立石図書館に取りに行った時同じ棚にこの本があったから…その場で次の予約を入れといたのです。芋づる式…は僕の生き方かもしれないなと思いました。
著者は、どこかのページで…人と同じことをするのが嫌…と言っていました。僕はそこまでアクが強くありませんが…その気分は納得できました。生活のすきま時間に読める、活字が大きくてそんなに厚くない本ですので、物事を違った視点から観るためにお勧めしたい1冊です。
そうそう、作者との縁といえば、1973年にローレンツと共にノーベル生理学賞を受賞したフォン・フリッシュの胸像を休暇先の湖畔で見て、最初は夫に「この人誰?」と訊いたくらいでした。蜂のダンスによるコミュニケーションを解明したそうで、「ほら、湖の向こうにあるあの家に彼は住んでいたんだよ」と言われて、改めてその家を見に行きました。絵になる素敵な家でしたよ。
それから、ウィーンの公園を散歩しているとライオンか虎の吠えるのが聞こえて、「何なの、あの声?」と驚くと、一緒にいた人が「ローレンツの話の白い孔雀が生まれたのはここの動物園だよ」と教えてくれました。
そんな些細なことも、作者への親しみの念を引き起こしてくれますね。
話が長くなりますが(例のごとく)、ちくま少年図書館で思い出したのですが、子供向けの特に科学関係の本を外国人(日本人でもいい)の日本語教育に使うといいのではないでしょうか。私の経験から言って、きちんとした論理的な文章の書き方を学ぶのに、百科事典の類は大変有用でした。文学などより、こうした客観的な説明文の方が語学力を向上させるのに役立つと思います。