蓮池流韓国語入門:蓮池薫著:文春新書: 2008年10月刊
先日読んだ鷺沢萌の本の最後のほうのパラグラフにおばあさんへの遺言めいた韓国語で書かれた箇所があった。わかりたい。で、
昔、韓国語の勉強のために買っておいた韓日辞典で調べだした。動詞の終止形で調べること位までは合点承知しているのであちこち辞書をひっくり返してみたけど所々の形容詞がわかる位でお手上げ。と言って韓国語アプリは使いたくない、くっそー!(著者は日本語で書きたくなかったんだと思う…だからよけい読みたくなる)
(※韓国語は2020年現在インターネットで公開している資料(世界の母語人口)によると韓国語を母語としている人口は約7500万人となっていて、順位で見ると韓国語は第12位でなんとフランス語の7200万人を上回っているそうです)
さて、昨日は暑い位でしたが日陰は気持ちが良かったので図書館から借り出したこの本を寝転がって読み始めました。
蓮池さんは拉致されて半年後位に北朝鮮の施設で韓国語を勉強し始めます。徒手空拳。韓国語を勉強するのにテキストを要求したら…最初に渡されたのは会話ブック1冊だけだったそうです。日本で作られた小さな本で同じ意味の4カ国語の文章がずらっと並んでいると言う代物だったそうです。まともな教材をくれと言うと渡されたのは「金日成著作選集」。思想学習であって語学学習ではない。さらにしつこくテキストを求めると…金日成総合大学で留学生用として使っている分厚い教材が手元に届いたのだそうです。ここまでに半年かかったと言うわけです。
、、、、先生もいない、まともなテキストもない、その中で蓮池流独学が始まります。寝転がってはいられない。蓮池さんが自分で間違えたであろう箇所も丁寧な説明がなされている。文庫本ですが、てらいのないこんな姿勢がたちまち本に引き込まれる。いっこいっこハングルを発音しながらまるで蓮池さんの学習方法をなぞっているような感じです。導入部がこんな語学学習だったら途中で挫折する人も少ないのではないかと思いました。自分がつかえたところ、発音できなかったところが要領よく手渡されます。ゆっくり少しずつ読みたいので同じ本を早速アマゾンに発注しました。いずれ鷺沢萌の例のパラグラフ訳してご覧に入れたいです。
蓮池さんはリウル、己みたいな子音、ま、r アールのちょっとした発音の誤差も笑われていたみたいですよ、、、その屈辱は本には書いてありませんが書いてないだけに読んでいてわかりました。漢字が一掃されたのは…ナショナリズムだと思います。 本によれば14世紀?の朝鮮の王様、世宗が、言語改革をして…いろいろあって今に伝わった韓国語、中国と接していながらよく残ったなぁとは思います、素人目にも…。 横綱になった曙がテレビで言ってましたが…言葉がわからないうちは兄弟子たちの言うことが全て悪口だと思っていたと言ってましたよ、見えても耳で聞き取って理解し心がはっきり見えなければ…疑心暗鬼になる…びすこさんのあげてくださった例、結構あると思います。
教科書はあっても、先生がいない。Repeat after meと言ってくれる人がいない。私の初期のドイツ語学習と同じ、でも私にはカセットテープがあった。蓮池さん、朝鮮語の音をどうやって学んだのかしら。北朝鮮の人の会話に必死で耳を傾けていた、ってことですね。
ハングルはアルファベットみたいなものだから、中国語や日本語に比べて読むのに時間がかかると聞いたことがあります。仮名文字に漢字を混ぜることを考えだした日本人は偉い。おかげで斜めよみが楽にできる。韓国/朝鮮語も私が若い頃には漢字交じりでしたよ、確か。どうして止めちゃったんだろう。ナショナリズム?日本人は漢字を使っても、精神まで中国化はされていないでしょうに。
話がちょっと逸れますが、語学学習に占める音の役割は極めて大きく、友人の一人が聾唖者の日本語教育に苦闘しています。聾唖者は他人の表情に敏感なのですが、自分への嘲笑や悪意ではないかと勘繰ることが多く、かなり付きあいにくいと言っていました。一方、視覚障害者は語学の進歩に何の障害もないんですって。彼女の話で言語に占める「耳」「音」の意味を初めて認識しました。幼いときに自然に学ぶ「言葉の音」がないと、読む能力も得られないとのこと。