< 老いと学びの極意 >
団塊世代の人生ノート:文春新書: 2020年11月刊
予約の本を図書館に取りに行ったら同じ棚の中にこの本を見つけました…早速リクエストをしましたら予約者16名と出たので仕方なくアマゾンに中古本を頼みました。
昔、僕の仕事の相棒第一号が武田鉄矢褒めてましたね。いちまるさん、彼ねぇ宮崎教育大か何か出てるんだよ…それでね教育実習の時に言われたんだって…君は生徒の心をつかむ天性のセンスがある…
僕それ聞いて…そうだろうなぁとは思いました。説教臭くて嫌いだったんですけど、そばに東京の大学出てずっと東京にいるのに九州弁丸出しの声のでかい彼の友人がいたんで、めんどくさくなりそうなので答えずに黙ってました。というわけでなんか、苦手な人なんですが読みます。
最初のページに、、、
気になる事はノートに書きつける習慣によって…その習慣のおかげでか、悪癖の知ったかぶりがやっと治りました…
と謙虚なところを見せてくれたので、これで、よし読んでやろうという気になりました、鉄矢さんよろしくな、1年後輩。
めんどくさいうんちくから始まってたけど、歌謡曲、世は歌につれ歌は世につれを分析して見せてくれる頃には面白くなりました。
俺は河原の枯すゝき、の歌に始まり…藤圭子もその系列、彼言うところの自虐ソング、70年代のフォークソング、80年代は松田聖子の赤いスイートピーあたりから歌詞は「影」より向日性の明るい歌詞に変わり、90年代は自己肯定ソング「愛は勝つ」…へと歌謡曲の足跡をたどって…桑田圭佑のノリまで言及して、要するに鉄矢節です。
おっちゃんの話だんだん乗ってきて自身も心得のある合気道の話にもリキが入ります。人間関係にも合気道の考え方を応用し、力まずに相手と絡み合い余計な力を使わない世渡りが老年期の心構えとでも言いたげでした。ちょっと強引なところもありますが、なるほど彼は先生になれると思いました。すぐ熱っぽくなるのは金八先生そのものです(出身校の福岡教育大では教師を目指していたといいます)
サリンジャーのライ麦畑でつかまえて、を取り上げて日米比較文化論?開陳して見せてくれました。
僕がサリンジャーを読んだ時持った感想とは少し違っていました。僕が読んだ時は、、、世の中をつかみ切れない青年(無理もない、実社会の経験少ない青年なんだから)が学校にも居場所がなく落ちこぼれの中で傷つきながら自分を不器用ようになげうって、自分を試していく青春そのものが、爺の僕にもわかるような青春グラフィティーになっていて、鮮烈でした。自分と重なるような気もいたしました。武田鉄矢はもう少し広いスパンでこの小説を分析して、青春から老いまでもこの小説に絡めて自説を述べていました(サリンジャー自身は早々と引退してたんですね)
こじつけの強引さはちょっと怖いと思いましたが武田鉄矢の座談と思えば気楽で面白いし、スポーツ界の著名人との交流エピソードは貴重で、楽しく聞けました。司馬遼太郎を通じた坂本竜馬への思い入れは噂通り。ご覧になりたい方はお申し付け下さい。
そうそう…僕なんかその後のバブルの時も大しておこぼれに預かれなくて(この言い方、卑屈ですね)交際費枠をもらったので友達と飲んじゃって…後で上司から…いちまるさん、僕の分(の交際費)も取っといてねーだなんてまたまたケチな話でごめんなさい🙏