嘘と感情論で封殺された 5つの日本の真実:高橋洋一著:徳間書店2021年7月刊
目を引く長い形容詞のついた本、読んでみました。流布している情報の、わかりやすい分析箇所いくつか引用いたします、第3章バイデン政権で変わる日本の役割、、
中所得の国の罠にハマる国々、と項が立ててあり… (要するに…非民主主義国家はなぜか経済成長に壁があるという説です、これに関してイギリスの調査機関があげる各種の「民主主義指数」ググってみてください)
155 〜157ページ
前略…民主主義は、経済成長と深い関係があり、非民主主義国で成長するのは難しいのが、これまでの歴史だ。
開発経済学では「中所得国の罠」ということがしばしば話題になる。一種の経験則であるが、発展途上国は一定の中所得までは経済発展するが、その後は成長が鈍化し、なかなか高所得になれないのだ。ここで、中所得の国とは、一人当たりGDPが3000から1万ドルあたりの国をいうことが多い。
これをG20諸国の時系列データで見ていくと、1980年以降、一人当たりGDPがほぼ1万ドルを超えているのは、G7諸国(日、米、加、英、独、仏、伊)とオーストラリアだけだ。
アルゼンチンとブラジルは、1万ドルがなかなか破れない。2010年代初めに突破したかに見えたが、最近まで1万ドルに届いていない。インドは3000ドルにも達していないし、インドネシアは最近5000ドルまで上がってきているが、まだ1万ドルは見えない。
韓国は、2000年代から1万ドル以上を維持しており、今は高所得国入りしているといっていいだろう。メキシコは、2010年頃までは順調に上昇してきたが、1万ドルの壁に苦悩し、1万ドル前後で低迷している。
ロシアは、2010年ごろに1万ドルを突破したかにみえたが、その後低迷し、今は1万ドル前後となっている。サウジアラビアは、豊富な石油収入で順調に上昇してきており、2000年代中頃から1万ドル以上を維持して、今は高所得国入りだ。
南アフリカは、順調に上昇してきたが、2010年あたりから8000ドル程度に壁があるようで、それを越えられないでいる。
トルコも2010年くらいに1万ドルを一時突破したようにみえたが、その後低迷し、1万ドルの壁で低迷している。
中国は、これまで順調に伸びてきたが、現在が1万ドル程度であり、これからどうなるか注目だ。引用以上。
同じ第3章から、、注目の小型原子炉について… 172〜173ページ
福島第一原子力発電所の事故は、全電源が喪失し、原子炉を冷やせなくなってメルトダウンが発生した。しかし、小型原子炉では、冷却機能を喪失しても自然冷却による冷却が可能というメリットがある。
中略…小型原子炉で世界をリードしているのはアメリカだ。米国のバイデン政権はパリ協定に復帰したが、2兆ドル(206兆円)を投じる気候変動対策には原子力発電所の活用、特に小型原子炉の開発が盛り込まれている。
実は、日本もこの方向である。バイデン政権を見越して、米大統領戦直前の2020年10月26日、菅政権はギリギリのタイミングで「2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)」を打ち出した(※カーボンニュートラルとは、地球温暖化対策として、地球上の炭素の総量を変えない、つまりCO2の排出量と植物による吸収量がプラスマイナス・ゼロにすること)。
それを受けて、経済産業省はカーボンニュートラルを実現するにあたって、既存の原子力発電所の再稼働と並行し、新型原子炉の開発を推進するとした。
カーボンニュートラルを目指すにしても、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーには50〜60%しか頼れない。これは日米欧どこでも同じで、残りの主力は原発と火力発電となる。しかし火力発電では、カーボンニュートラルのためには発電で生じるCO2を回収・貯留する必要があり、コスト高にならざるを得ない。となると、やはり原発が必要となる。
といっても、従来の大型原発の再稼働も政治的に難しく、新設は事実上不可能に近いので、いずれ減らしていかざるを得ない。その場合、カーボンニュートラルで、より安全な小型原子炉の開発が大きなカギを握るだろう。
この原子力は、安全保障とも密接に関わっている。日米間で原子力協定を結んでいるが、日本は非核保有国で唯一、再処理とウラン濃縮の権利を得ている。特に再処理工場は一つでもあれば、油田一つに相当するエネルギー貢献があり、エネルギー自給率の向上に寄与する。引用以上。
(著者は元大蔵省官僚で小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍、菅義偉内閣では内閣官房参与を務める、とある、、ま、裏で(表で?)政策に関与しその推移を見てきた1955年東京都生まれ数量政策学者で大学の教員でもあるらしい、表紙裏袖より抜粋。基本的な考え方の拠り所を押さえておく良い本だなと思いました)
ついでだからウクライナのニュース。一昨日ゼレンスキーがドイツの議会で演説しました(日本でも予定してるって?)。感謝と称賛を期待していたショルツ以下(外務大臣も防衛大臣らも、経済相も)みんなえらい目にあってしまった。
ゼレンスキーはドイツの決断が遅すぎたと批判。戦争回避の策をどうして早く出さなかったのか、今さら経済制裁とか言ってもそれも生ぬるい。自国の壁は壊しといて新たな壁を作っているじゃないか。ウクライナのEU加盟手続きを速やかに進めてほしい・・・等々。一応、最後にお義理でドイツにお礼を言いましたけど、演説が終わってショルツさんしょんぼりしていたわ。
でも悪いのはショルツだけじゃない、前任者・前々任者の呆けっぷりの方がひどくて、現政権がそのツケも払っている感じ。
もひとつついでに、プーチンさんはステロイドを常用してるみたい。私も若い頃1年近く服用していたので分かるんです。薬のせいで頭がおかしい、という説もありますが、ステロイドは癌のリスクを高めたり骨粗鬆症になったりという問題はあるけど(私の場合、当ってる)、頭がおかしくなることはないと思う。それとも、私もそれでやられたのかしらん。