9月19日(火) 晴予報
寝違えたらしく首筋が痛いのでいつもよりさらにゆっくり泳ぎました…少し楽になりました。僕にとって水泳は体を解放する水中禅、、みたいなものです。
帰宅して、ゆっくり残りもので昼ごはんを食べて、、少し片付けものをしてコーヒーを飲み、お茶を飲み、あっちへ座ったり、こっちへ座ったり。1人で食べる食事用のテーブルの椅子、雨戸の敷居、長テーブルの椅子に代わり番こに座って部屋の風景が終わるのを確認して気分を変える。
結局外は暑いので出かけるのはやめ…本を読み出しました。
人魚のおくりもの:バーバラ・レオニ・ピカード 作/白坂麻衣子訳:長崎出版2009年6月初版第1刷発行
手に持った感触は… 50年前の本で丁寧に扱われたものだと言われたら本気にしたと思います。
本文はちょっとざらついて少しだけ黄色みを帯びている、、多分この感触は狙ったものだなぁと思いました、とてもいい感じです。
一気に読み進めました。とてもよくできた童話集です。
「三つの願い事」、、村の籠づくり職人の親方に雇われている2人の若者の話です。
ある日そのうちの1人が森の中を通っている時、難儀しているおばあさんを助けたことから…森の妖精に3つの願い事を叶えてもらいます。
もう1人の若者は本人からその話を聞き、先の若者から森の中を通っていけばまた妖精に会えるかもしれないよと言われ、妖精の仕組んだからくりの困っていた少女に遭遇し彼女を助けます。
その甲斐あって妖精に会うことができて3つの願いも叶うということになりました。
ところが心優しい若者は、3つの願いを道中で出会った、人や狐を助けることに使ってしまいます。
3つの願いを使った相手、体の弱かったおばあさん、足の悪かった娘、罠にかかった狐、は困難な状況から若者のおかげで救い出されます。
話はもちろんそこで終わりません、、若者は願いを叶えてあげた、それぞれから思わぬ贈り物を受けます。
結局、その3つの贈り物で若者も、思ってもみなかった自分自身の幸せもつかみましたとさ、、という話。
僕もこの話からちゃっかり3つのものを貰いました。
①人との関わりが人生を豊かにするという小説のネタ
②流通の活性化で幸せも配布できるという商売のネタ
③情けは人のためならずという生活の知恵。
この若者は助けることで見返りを求めたわけではない、人の幸せを我事のように喜べる好人物がここに「いる」ことをこの童話を読む子供たちが実感すると思います。
ちょっとひねくれてしまった子供を除いて…。
見返りがあった事は話を理解しやすくするための工夫だったと大人になって気がつけば充分間に合うこと。愛なんてケチケチするなって…教訓です、あはは。
今さら遅いけど僕ら大人も読むべき本だと思いました。
(読み終わっていい気分になりましたが、ふと何故かイエス・キリストを思い出してしまいました。
キリストは磔刑になりましたが、その時、幸せだったかどうか?クリスチャンはその辺のところ、どう考えているんだろう?
幸せだったのだとちゃんと気がついている人が殉教していったのだろうと無神論者の僕は類推します。
キリストに会っちゃった人は自分がキリストになり切らなければならない、と思うんじゃないだろうか?そうやって何人もの「キリストを生きる人」がいたからこそキリスト教が今に伝わっているのだと思った方が自然だと僕は思います。
ぼくはキリストに会ったことがない。実際に会わなければ信じないというのでは到底信者にはなれそうもないので消去法で無神論者)
童話は子供たちの心のドアをこじ開ける。良い物語は子供たちの心の中にしっかりと根を下ろすと思いました。そして、最も大切な前提条件、根をおろすための土壌作りこそ大人の責任だと思いました。
(先の丸まったペティーナイフが百均ショップになかったので手元にあるペティーナイフの先を丸めて使うことにしました)
情けは人のためならず、というのは、他人に施した親切や恩恵が自分に戻ってくる、ということですが、それよりも上にある通り、人が喜ぶと自分が嬉しい、ということが大きな動機だと思います。
私の夫は2001年から2005年まで日本の(たまたま私と同郷の)26歳の若者を預かってマイスター校に行かせ、その上の技術者コースにも通わせました。ただ知り合いの甥御さんだったというだけですが、当時は若い彼に十分な専門知識がなく、しかし向上心がある上にドイツ語に興味を示したことが、この子を育てよう、という気持ちにさせたようです。
その後、それを知ったいろんな人から「それだけのことをして、見返りは何だったのですか」と訊かれ、毎回怒っていました。彼らは無償で人のために何かをすることができないばかりか、そういう行為そのものが信じられないのか、と言って。このことは彼が相手と親交を深めるかどうかの需要な基準になりました。そういう質問をする人とはまともには付き合わない、ということです。
シャーロックホームズの有名な台詞にMy profession is its own rewardというのがあり、問題解決をして「どのようにお礼をすればいいのでしょうか」と訊かれて毎回こう答えます。
人のために何かをすること自体が報酬で、そして心楽しい、というのは、もしかして、キリスト教的に言うとそれ自体「恩寵」を得ている印なのかもしれません。
ここで4年間学んだ男の子は、今「土佐の匠」と言われて伯父さんの会社の看板になっています。