9月3日(日) やや曇り予報
民主主義とは何なのか:長谷川三千子著:文春新書2001年9月第1刷発行
200ページちょっとの文庫本である図書館から借りたこの本がたくさんの人の手垢のついた本であることにほっとします。
ホッブズのリヴァイアサンの中核をなす「何人も他人を殺しうる存在である」というロンブスの卵のような発想(コペルニクス的転回という言葉もあるようなのですが…)から社会を見直し、組み立てていく神を念頭に置いた思想(僕なりの言い方をしています)から、ジョン・ロックのまやかしのご都合主義が、後の世に及ぼす悪影響について淡々と語られていきます。トーマス・ジェファーソン起草とされるアメリカ独立宣言もフランスの人権宣言も「主権」を下支えするべき基準を欠いたままのご都合主義とバッサリ切り捨てられています。
手元に置いておきたいのでアマゾンに同じ本を発注しました。
著者が、40歳ごろに描かれた下記の本も面白かったです、晩酌をした後で読むのは失礼かと思いましたが、読書用のメガネ(乱視の矯正は、ある程度までですが…)が出来上がったのが嬉しくてつい読み進めてしまいました。
からごころ(日本精神の逆説):長谷川三千子著:中公叢書1986年6月発行
中国語を「無視」、というか知らんふりして、換骨奪胎、漢字カタカナひらがな発明して日本語に置き換えていった(全く僕なりの言い代えご勘弁)いきさつが本の最初の方で語られ、たちまち本に引き込まれていきました。
谷崎潤一郎や井伏鱒二の文体構造の分析も興味津々、というよりは緊張。まるで、見えない敵を追い詰めていくような、本人と一緒に読者もその敵のありかを彫琢していくような井伏鱒二の文章、、
そして谷崎潤一郎の人と風景の状況を淡々と置いてくるような文章が語らしめる日本語の力、感じました。
本は最後の「国際社会」の国際化のために、、を残し読みさしになっています。分量にして40ページ、、書かれた内容の4ページ分位はしっかり読み取りたいと思います。
井伏鱒二の「黒い雨」、谷崎潤一郎の「細雪」いつかまた読むことになるのかなと、、雑な読み方をしていた僕は複雑な気持ちです。
この本を書いた著者は当時40歳!僕は深く深く恥じ入るばかりです、と気取ろうとしましたがそれこそお門違い、、門の外から最敬礼するのみです。
(補聴器が送られてきたらしいので郵便局へ取りに行ってきます、、これもメガネと同じでどこまで矯正ができるのか分かりませんがあればあるでちょっと安心できます、ちょっと安心が大安心😮💨これからは自分を助けてくれる道具を使い、人様にも助けてもらいながら生きていく)
(昨日夕飯にレトルトカレーをベースに、野菜とか肉とかをぶち込んで、なんちゃってカレーを作っておいたのですが…いっぱい呑んでいるうちにお腹がくちくなってしまって、、さて、今朝はそれを食べてスタートです)
秋来たと告げる人なく今朝の秋
[「からごころ」最後の項、日本で声高に叫ばれてきた国際化(Internationalize)は、欧米社会から見た基準であって全世界のスタンダードではない、ということが静かに語られていました、納得と言ってはおこがましいのですがストンと落ちる説明でした。
なぜストンと落ちたかというと身近な人間1人を理解するのにこちらの世界観を変えなければアプローチできなかったことを最近体験したからでした、ま、いくらなんでもちょっとオーバーな言い方になってしまいましたけど…体験に勝る学問はないと思いました)
いやあ、すごいなあ、着々と読書を遂行。それもこのところ私が読んでいる小説の類じゃなくて中身の濃い本ばかり。紹介した本人としては、小さくなってしまいます。
そうそう、80年代・90年代は国際化という言葉が念仏のように唱えられて、知り合いの英国人が「インターナショナル」と聞いただけでムシズが走る、と怒っていたことがあります。21世紀にはそれが「グローバル化」に変わり、グローバル・スタンダードという言葉が新聞にも踊るようになりました。近代化=西洋化と考えられていた明治以降の固定観念は今もほとんど変わらず(西洋化でない近代化があったら知りたい、と言う教授もいました)、したがってグローバル・スタンダードは欧米スタンダードになっている。
それだけではなく、そのスタンダードが自国・自圏に不利になるとコロッと変えてしまうんですよね。ちょうどオリンピックの競技ルールみたいに。ジャンプなどで日本がメタルを独占すると、これは何かおかしい、日本人に有利なルールのせいだ、と白人同士が談合で規則を変える。日本のハイブリッド自動車は環境保護に貢献しているのに、欧州ではそれを作る技術がないので競争したら負けるから、ハイブリッドは中途半端で電気自動車のようにはいかない、などと言ってEUが輸入を規制する。それがグローバルなんですってさ。
そういう意地悪をされながら頑張っている日本のメーカーさんはエライ。