7月10日(月) 晴れ予報
ジムでいつものように汗を流し…頼まれていた自由の庭のエアコン追加設置工事の居合せに出向こうとしたらQさんが見えたので…一緒に行っていただくことに…、途中で、待ち合わせ時間の変更の電話が入り…時間があったのでQさんと立石の蕎麦屋に入り、食事を済ませました。
現場で打ち合わせが終わり、その後、工事が始まりましたので僕は失礼しました。
家に戻り少し落ち着いたところで昨日の続きの読書をしました。
ユダヤ人最後の楽園(ワイマール共和国の光と影)大澤武男著
第一次世界大戦後ドイツに成立したワイマール共和国十数年の存続を支えたユダヤ人の光芒のいきさつが語られています。その後ナチスの時流に乗じた台頭とともに第二次世界大戦が拡大する。
人間の深いところにある猜疑心、この人騒がせな脳の旧皮質や扁桃体?に徹底して呼びかけた(私見)のがヒトラー。ユダヤ人憎し、の情念はゆるぎない信念となって、その狂信的な信念は、第一次世界大戦の巨大な負債に動きが取れない当時のドイツの民衆の貧困層に、貧すれば鈍す、思考停止の民衆の不満のはけ口となるべく、巧妙にぶつけられた。
一方富裕層は共産主義思想が所有財産を脅かす恐れもあり、消極的賛成としてナチスを認めていく。また、キリスト教会の良心的聖職者は次々に強制収容所送り、多数が殺害された。その事実の進行とともに…
191ページより引用↓
…巨大な教会組織の護持という政治的課題は、最も大切な教会の内的生命力である「良心の声」を沈黙させたのである
引用以上
絶体絶命の危険を感じたユダヤ人の富裕層インテリ層は早くから数万人単位でドイツを脱出している。
ユダヤの一般市民は…選択の余地なくドイツ国内にとどまった。歴史上今までもユダヤ人の迫害はついてまわった…まさか狂信的にユダヤ人の全滅を最終目標にそれが実行されるとは夢にも思えない、、逃げ出す機会を失った。
その一方で民族の絶滅作戦はベルトコンベアの作業のようサクサクと進められた!
以上、つまみ食いのような中途半端な僕のコメントと引用で消化不良かもしれませんが…
ドイツは今ユダヤ人に対する名誉回復に懸命に努力しているとエピローグに書いてありました。
ちょっと聞きづらいけど、耳を傾けたい著者の日本人に対する苦言もあとがきにありましたので…引用しておきます。
206ページ
日本のように教育水準が高く、人材に恵まれた先進国の日本が、なぜ明治以来の中央官僚体制でなければいけないのか。まるで後進国である。地方分権の声が各地から上がっているにもかかわらず、それが一向に進展しないのは、国民の政治意識の低さでもあろう。中央からの指示や指令で動いている日本の政治構造では、個性のある政治や個性のある人間はなかなか育たない。地方分権に徹しているドイツを見ていると、まねをする必要はないが、日本の依然とした一国家、一民族、一言語、十把ひとからげの現状維持政治体制は歯がゆくてならない。
私は地方分権政治が進展しないと、個性のある人間は育ちにくいと考えている。ある時は「ゆとりのある教育」、ある時は、「教育再生」で日本全体が左右されるが、なぜそうでなければいけないのか。いったいこれから何がくるのか。日本は国際社会の中で一人ぼっちで混沌としている。
引用以上
(文庫本の読書は数時間で終わる。1冊の本が読者に何を残すか…著者の投げかけてくる問いは、そのまま問いとして、記録として、文字として残る、そこが肝心だと思う。
自称懐疑派の僕がLEDの壮大な極彩色にいまいち馴染み切れないのも、映画の圧倒的な迫力になじみ切れないのも、荘厳なカテドラル、大伽藍に反発を覚えるのも、、押し付けてくる情報量の多さに辟易しているからなのかもしれない。受け入れるより先に拒否、、つまり、そもそも出来が華奢、、あはは)
あら、またもや共通の話題。前のブログにユダヤ人について書いたばかりでした。
「地方分権に徹しているドイツ」とありますが、ハプスブルク帝国を傘としてその下でいくつもの公国だの侯国だの伯爵領だのに分かれていた19世紀初めまでのドイツでは(ちなみに、当時はドイツという国はありませんでした)、中央集権が難しかったのです。そのため、フランスや英国のような強力な中央集権政府を樹立することができず、それがドイツの発展を妨げた、との説も学界ではほぼ定説になっています。どの時代、どの角度から見るかで批判も称賛も異なってきますね。
地方分権がその良さを発揮する時期もあるし、不利に作用する時代もある。英国やフランスの最盛期は、植民地政策と組んだ絶対君主の帝国時代でした。それが今そのツケを払っているわけですが。
大まかに言うと、ドイツは連邦共和国なので、政体としてはアメリカに近いのです。そして連邦の力が今も強い。従って、州知事が首相になるというケースも多い。連邦制はスイスも同じで、こちらの歴史の方が新興のアメリカよりも、もちろんドイツよりも、古いですが、この国が現在世界で最富裕国に発展した理由がそこにあるのかどうか。
日本は国際社会の中で一人ぼっちと見えるかもしれないけれど、西欧や米国に追随しない、独自の、しかし独善に走らない文化・社会を築いていく必要があると思います。それはまず自国を知ることから始まるのでは。