1月 6日(金)晴
興福寺の屋根の修復作業は今月から始まり2030年まで続くらしい。作業に従事する人たちは緊張はあるものの興味津々に違いないと思いました。時を越えて当時の職人と会話ができる。職人の特権だ。唐突ですが、古典と言われる本も全く同じだと思いました。丁寧に読み込めば、当時の状況の1部がつかめる、そう思います、特に研究者じゃなくても、自分の興味と先人の興味の一致点はあると思います。そう思える場面があったからこそ次につなげる励みになる、つなげる人がいてくれたからこそつながる…当たり前すぎて見落としてしまう点だと思いました。
あ、何が言いたいかと言うと…改修工事をしていると、、前の職人さん達の仕事ぶりがわかっていろいろ考えさせられます、と言いたいのでした。昨日換気扇のフードを現状のものよりもっと下向きにするために現状の換気扇のメーカーの純正品を取り寄せて付け替えたのですが今までついていた板金屋さん手作りのフードのまぁ丈夫なこと、、はっきりって過剰品質…フードを支持する端面をご丁寧に工作して左官職人さんにその部分を外壁に塗りこめさせたのです。お隣の方が僕が板金カッターで少しずつ板金を切り取っているところを見ていて、…僕は何か言わなくちゃと思って…「正月早々お騒がせしてすいません、、昔の職人さん達は丁寧な仕事をしているもんで直すのが大変です」…なんて言わずもがなのことを脚立の上からお話ししてしまいました。結局塗り込めた板金部分は壁の中に塗り込まれたまま残してあります、無理に抜いてモルタルを壊すと後が面倒なためです。
(そういえば町場の板金屋さんもいつの間にか姿を消した。立石の近所にあって、ぼくが簡単な図面を書いて頼むと、そっくりそのまま部材となって出来上がってくる。そんな手作りの建築金物をいろいろ作っていただいた親方もこの頃見かけない、いつの間にかフェイドアウト)
仕口が見えなくてわからない時は、恐る恐る少しずつ部材をちぎるようにして仕口に迫っていきます。やたらに釘を抜かない、何と何をつないでいるかわからない時は隙間に金ノコを滑り込ませて1本1本釘を切る。釘は、やたらに抜かない、作り付けの吊り戸棚もそうやってバラしました。闇雲に壊したら天井もろとも落ちてしまいますので。
僕は特に力のかからないところは手抜きをしてあっさり済ませその分請求を安くして、差別化を図っていました(例えば住人が夫婦喧嘩で壁に穴を開けた場合…ボード全体を変えるのではなくそこだけ直す)。
それにつけても…思い出すのは、母が僕の仕事ぶりを見ていてよく言っていた言葉です、、お前みたいに何でもすぐ簡単にやらないで大変そうに見せなきゃダメなんだよ(それも芸のうち)、、、まぁその通りです、あはは🤣。板金屋さんはここでお金をとっていたんだなぁと思いました。板金屋さん、今になってバラしてごめんなさい。
新しいフードを取り付け終わったところでおとなりの方がにっこり笑ってエールを送ってきました…昨日まで付いていたフードの庇が短すぎて換気扇から出る風が自分の家の新しい家に当たるのが気になってらしたけど、前の住人に遠慮して言い出せなかったお向かいさん、長いことお待たせしてすいませんでした。長年の懸案がやっと解決がついたのですっきりしたお顔して下さいました…今までお気遣いお疲れ様でした、これをご縁に仲良くして下さいませ♪
(工事の話題はおしまいと言っていたのにまた繰り返してしまいました)
さて本題の今日、ご紹介したい品物はガラスの入れ物です。床下収納庫に入っていました…おそらくは梅干しを入れるつもりだったんだと思います。中をアルコール消毒して僕はお菓子を入れます。駄菓子屋さんのイメージです。写真は先週兄と会う途中に新しくできた駄菓子屋さんで買ったお菓子をこの入れ物にちょっと入れてみました。思い出したのは…
猫婆さんちのお菓子ケース。同じような形でアルミの蓋がしてありました。近くに二軒あった駄菓子屋さんのうちの一軒です。強面こわもてのおばさんでした。猫が3匹確か、いました。木で鼻を括ったようなおばあさんでした。笑ったところはもちろん見たことがありません。店が整然としていた優しいおばあさんの家より僕はもっぱら猫婆さんち。多分ちょっとスリリングだったからだと思います。およそ子供好きとは思えないおばあさんの、みすぎよすぎのための商売。雑然としてほこりっぽい店内、それを何とも思わない子供たち。多分片付ける気力もなかったんだと思います。わざと片付けなかった、とは思えない、今思い出すと。ビー玉、ベーゴマ、駄菓子が無造作に置いてある店の中に押し入ってゆく感じで入って行きますと3メートル先におばあさんが座っています。無理に押し入って入ってみても2メートル以上は入れない。そんなことをしたら周りから雑多な山のようなものが崩れ落ちてきそう。何かを買った記憶が薄い。物色して何も買わずに出てきたことの方が多かったかもしれません。わけわからない雰囲気が子供ながらに面白かったのだと思います。そういえばおばあさんも…こんなことでもしていなければ時間がつぶれないとでも思っていたのかもしれません。それが似合う顔は…ギョロ目のあの仏頂面、おばあさん、ごめんなさい、でも、、いま、思い出すと笑える。
色々な経験を積まれていらっしゃるんですねぇ…びっくりです。僕より詳しいかも。 そうそう油圧プレスで硬い鋼板をまるで、あめ細工ように型抜きしていくところ1回でも見れば…鉄は軟らかい、、というとんでもない感想を持ってしまいます。僕の最初の相棒が僕とのコンビを最後に解消して…プラント会社のメンテナンス工事の会社に入って、、その現場を見たとき…いやあ、いちまるさんが、鉄は軟らかい…という言葉の意味がわかったよと言っていましたっけ。 若年の女子はませている…はい、その通りだと思います。年齢以上の差、早熟、納得してます。それを勘違いして男子は、いつまでも子供ぶってそれがかっこいいとでも思っている節があります、いい加減にしといたほうがいいと思います。いい加減という意味は…いい加減にしろ!と言う意味です。え〜と、、そちらは、、夜10時ごろ…寒いので余計なことですがいい加減にしてお休みなさいませ…ちょっとだけお姉さんに大人ぶって失礼な言い方をしてしまいました…ごめんなさい🙇♂️
いやあ、なつかしいなあ。駄菓子もベーゴマもビー玉も。私は駄菓子の外は買わなかったけど、弟たちがビー玉で遊んでいたのをフフンという感じで見ていました。幼稚だなあ、などと思いながら。
いちまるさんは違っていたかもしれませんが、男の子って女の子に比べるとなかなか成長しない感じでいつまでも幼く、女子は早くにませて大人っぽくなる。だから例えば私と弟の3歳ちょっとの差は、6,7歳くらい違うように感じたものでした。幼い頃の記憶にそれぐらいの差があるんです。でもそういう幼さが母親にはたまらなく可愛いみたい。私も男の子の母親になっていたら、自分の母親の理不尽で不公平な態度にもう少し寛容になることができたかもしれません。
板金加工もなつかしいです。70年代から80年代、メーカーさんが頑張っていた頃にはよく見学に行きました。コールドプレスとか凄かったなあ。バブル前と後とを比較すると、経済・金融よりも産業構造の変化の方が大きいように思います。銀行やお店と違って工場の中は一般人から隔離されているのでそういう実感を持つ人は少ないでしょうけど、バブルの失敗にも拘わらずその頃から「額に汗して働く」ことへの蔑視・軽視が強くなったように思う。現場から遠ざかるにつれて人間はスレッカラシになると、私はよく腹を立てたものでした。