1月 4日(水)晴
昨日は10時ごろから仕事場へ行ってコーヒー飲みながらかつしかけいたさんの漫画を見ていました。スマホで拡大しながら見ていると丁寧に描けている画面と話の運びの面白さで見入ってしまいました。
ひなたぼっこしていて体が暖まったので仕事場を少し整理しました。冷蔵庫や洗濯機を入れたらこちらに寝泊まりしよう、という気になれました。並行して、旧宅ももう少し様子を整えつつ、おいおい使い途を皆さんに相談していこうと思います。十年一昔と言いますが10年ほど前にはもっと広まるかなぁと思っていた「家を開く」というユニークな考え方が一時ほどもてはやされなくなったような気がしています。逆にますます閉鎖的になってきている、、そんな気さえします。
さて、昨日もちょっとだけ仕事場に手を入れました。
1階の4畳半のエアコンがついてた跡(左上の小壁)を目立たなくしました。よく見ると最初の繊維壁を塗り替えて聚楽壁(京壁)風にしたことがわかります。繊維壁は柄が豊富なので一時流行りました。でも古くなるとちょっとみすぼらしい感じになるので家主が思い切って全部の壁を職人さんに塗り替えてもらったのだと思います。
左官材料屋さんへ行けば(まだあるかどうか分かりませんが)1坪分の材料は分けてもらえるでしょうが(というかアマゾンで頼めば)めんどくさいので色を合わせて余った水性のペンキでごまかしてしまいます。多少の色違いは模様と考えて、自分の気持ちもごまかしてしまえばそれで済むことです。もっともこれもあとで、書くつもりの「タイパ」(タイムパフォーマンス)の一環かもしれません、あはは🤣
ここの和室にこたつでも置いてぐずぐずしていたらそれなりに面白いかなとは思いましたが…とりあえず空き部屋風にしておきます。
(布地を長手方向に割いた片方が天袋のカーテンとしてここに納まっています)
ここで良い機会なので、壁の仕上げの仕事を振り返ってみたいと思います…左官屋さんの最後の腕の見せ所が繊維壁作業だったと思います。この後、繊維壁のように、乾くのを待つ時間を許さない工法が幅をきかせてゆくことになります。クロス貼り、です。当初、繊維壁の下地を剥がしてクロスを貼っていたんですがその工程を省いて、繊維壁は剥がさずにその上に4ミリ厚か5.5ミリ厚ベニヤ板を貼付、その上から一気にクロスで仕上げます。仕上げが早いクロス工事に駆逐され、左官屋さん沈没。
工法はどんどん移り変わり大きなビルでも左官屋さんはたった1人、工事中に誰かが壁を壊したときそこの補修をするのが左官屋さんの役目。大げさに言えば産業革命以来、手間のかかる、でも味のある手仕事は防戦一方、この繰り返しだと思います。
悠長に壁が乾くのなど待っていられない。時は金なりの風潮、コスパならぬタイパ(時間あたりの効率性)全盛、タイムイズマネー。
例えば…僕らが40年近く前、見よう見まねで単管足場を組んで足場代を浮かし、コストダウンを図り、それを歌い文句に営業をかけていたあの時代からあっという間に町場の仕事では、今はビケ足場(差し込むだけで足場が組み上がっていく)全盛。
三が日が終わってちょっとほっとしています…毎年のことです。今日からはホームセンターも通常営業と聞いているので買い物に行ってこようかなと思っています。
ちょっと早いですが音の出る仕事も恐る恐る始めたいと思います。塗装工事は塗ってしまえばおしまい。床板張りも根太はしっかりしていたので上張りしておしまいです。工事関係のご報告はこれにて終了し、家にまつわる品々のご紹介に入りたいと思います。
残った仕事もおいおい仕上がっていくとおもいますのでその都度部分部分を紹介させていただきます。改修らしい改修もせずに住み始められる状況に前住んでいた方に感謝です。
見栄えを良くして販売するために、建具を取り払い、邪魔なもの(業者さんが考える邪魔なもの)を壊したとき、勢い余って工具を床に落とした跡が痛々しいです。縁あって住み始める家、大切にお付き合いしたいと思います。
繊維壁、聚楽壁、どんどん専門用語と専門の工法が出てきますね。勉強になります、といっても、学んだことを生かす機会など私にはないのですが。
コスパならぬタイパの昨今の風潮は、私としてはやはり寂しいです。仕事に時間をかけることの貴重さ。無理かもしれないけれど、若い人に分かってほしいと思います。
ちょっと話が逸れますが、最近「なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか」というノルウェー科学技術大学の教授が書いた記事を読みました。自らの手を使うこと、作業に時間をかけることの利点を説いています。子供でも大人でも、手書きで書くとより多くを学び、よりよく覚えているそうです。
何もかもが便利でスピーディになった昨今、みんな自由に使える時間が増えたのだから、その時間を利用して、手を動かしゆっくり・じっくり作業をしてみる・・・となると、効率を追求したことの意味が分からなくて何だか逆説っぽくなりますが。