11月14日(木)
昨日の話と全く相反する話になってしまうかもしれませんが…本を読んでいて先へ進めなくなることもありますね。
本当のことを言われて立ちすくむような感じ。
日本経済の本当の話/上下巻 :
R・ターガート・マーフィー:毎日新聞社1996年4月発行
ここだけを取り上げると勘違いされそうなのですが…その立ち止まらざるを得なかった箇所をお伝えするために引用します、1987年日本のバブルが弾ける前の日本の姿をこんなふうに描写しています。
101〜102ページ
これは地球全体を指揮する準備のできている国ではなかった。
1930年代に日本で広く謳われたスローガンを用いるなら、「世界のすみずみまでひとつ屋根の下(八紘一宇)に置こうとした日本のただ1度の試みは、大失敗に終わっていた。大失敗の原因は、アメリカの優れた軍備や戦略のせいではなく、日本人がほかのアジアの人々を、程度の低い労働力、露骨にいえば奴隷としてしか大東亜共栄圏に組み込むことができなかった点にあった。最初こそ民族解放者として歓迎されたものの、日本人はじきに朝鮮からシンガポールにいたるどの国でも嫌われ、恐れられるようになったのだ。
こうした事柄は日本の学校では教えられなかったが、アジアを植民地主義から救出すチャンスを、日本がどのように、また、なぜ台なしにしてしまったかを、戦後の管理者たち(アドミニストレーターズ)はじゅうぶん知っていた。奇跡の経済の生みの親たちは、かつて植民地満州の経済を組織化した経験を持っていた。これらの人々には、日本の「デモクラシー」を構成しているパワーバランスには部外者を取り込む余地がなく、もしそんなことをすれば「日本人らしくない」という非難を買うだけであるということがわかっていたのである。
だから日本のエリートは、アメリカの覇権の庇護のもとで裕福になることに徹するほかなかった。アメリカが世界の治安を管理し、世界通貨を提供する。アメリカ人がGATTやIMFや世界銀行を運営する。アメリカ市場が来る者を拒まない一方で、日本市場は外国人とその投資や製品を寄せ付けないバリアーを築き、干渉されることなく作産業マシーンを築きあげる。
アメリカが日本の軍事基地へ自由に行き来する一方で、日本は世界に広がるアメリカ核ネットワークの1部となり、そして両国ともそうでないふりをする。国連やその他の国際会議では、日本はアメリカの対外政策目標に対してリップサービスを行う。
これまで日本は、覇者としての機能を果たせと言われることもなければ、みずから進んで果たそうとすることもなかった。
引用以上
(今この文章を読むと隔世の感がありますね)
その後の記述で立ち止まった訳が分かりました、、この本の中のクライマックスとも言えるここが小説で言えばキモの伏線でした、、下巻を一気に読ませる工夫…クライマックスはこれからだと思わせる…書き方に引き込まれました(これは小説ではないのに小説を読んでいるようにご気楽に)。
大蔵省、日銀、アメリカ当局者の実態、、そうだったのかと遅まきながら驚く、、日本がアメリカの都市のビルを買い漁っていたその意味に。
日米両国民に対する貴重な提言、この本に書かれていることを僕はきちんと理解できていなかった…もしかしたら今も…。
歴史の1部を解説してもらって理解できたからといって歴史のこれからが見通せるわけわけもありませんが、知らんぷりをきめこんでいるその間にも世界は動いてゆく。
これからも時代が動いてから解説されてやっと納得するのか?
次の時代もあっと驚くエピソードが続くだろう、というかものすごい勢いで世界が変わっているのに、20世紀末の頃の僕の気分と同じように21世紀ももう4分の1を過ぎて相変わらず僕自身20世紀末の気分でいることが、自分がバカに見えてきます
、、あはは🤣
笑っている場合ではない😞
本音を語られた本を読んで、読んでなかったことにするふりはできない。
いつまでも単なるウォッチャーをきめこんで、のほほんと暮らしていくのか?
この本はそう訴えかけている。少しも古びていない。
不謹慎にも…赤信号みんなで渡れば怖くない…という言葉が浮かんでしまいました。