9月7日(土)
仕事はやらねばならない。客は大事にしなければならない。
大体この2つを念頭に置いて世の中を渡ってきたような気がする。
ちょっと気が進まないことでも「仕事」と思えばできてしまう。
ちょっと気に入らない人でも「お客」と思えば付き合える。
応用例…読むのに気が重い本も「仕事」と決めてしまえば腹が決まる。
面白くない態度を取られても…その人が「お客」となれば話は別。お客は僕の味方、、味方は多い方がいい、僕を守ってくれる。片棒を担いでくれるかもしれない、助けてくれるかもしれない。
人生はこうして「かもしれない」の積み重ねで、どうにかなっていくものかもしれない。
経理マンとしては、、人を見たら泥棒と思い、金銭を扱わなければならない。
営業マンとしては、、人を見たら金(かね)と思えば、接し方はおのずと定まってくる。
ついでに、、
職人としては顧客をどう見ていたか…はっきり言って…わがままの塊、、
わがままにはわがままで対応しなければならない…したがって職人はわがままが良い、、はい、お後がよろしいようで、、あはは🤣
読むのをちょっと躊躇する本ってありますね。タイミングもありますが。そんな中でどういう契機か読んだ本が7,8冊あって、それがいずれも偶然に私が近年強く感じていた問題へのヒントをくれました。
その前に、今わが家は前代未聞の危機に瀕しているのです。というと大げさですが、1週間前にはうちの亭主が半ば倒産を覚悟したくらい。この会社は評判もいいし固定客もいるので、私が結婚して23年ずっとほぼ順調に回ってきました。ただ、亭主の「善行好き」には困っていました。ウィーンの楽団を招く市のプロジェクトにかなりの額を毎年寄付したり、ジェスイット会の神父のジプシー救済財団にも定期的に相当額を。一番立腹したのは、彼のお人好しを見込んだ大学の教授たちが、自分の学生が博士号を取るために2年続けて勉強したいが両親からの仕送りが望めないので、援助してくれと言ってきたこと。それで博士号を取った人はいなくて、勉強に飽きて結局どこかで働き始めた。そんな生徒の支援を頼む教授たちも問題ですが、それを受ける亭主の側に自己顕示欲や、一応そこそこの金があることへの誇りなどがあったことも事実です。
大きなお金が出ても、大きなお金が入ってくるうちはよかったのですが、今の政府が脱産業を唱え、ウクライナ紛争でロシアからのガスが来なくなり、メルケルが人気取りに宣言した原発廃止を現在の左派政府が大喜びで実施して、エネルギー代がおそろしく高騰したためにドイツの世界的大企業が中国やアメリカに逃れることになって、すそ野産業が軒並みやられています。
それは2021年秋の選挙で既に予想できたことなので、とくにエネルギー不足が最悪の状態になった頃から、私は彼の引退を勧めていました。時代の変化に怒り狂うけれど、年寄り1人がそれを止めることはできない。必要なのは適応力、レジリエンスで、残念ながら84,5歳の老人にそれは殆ど望めない。
注文が来て製造してお金が入ってきている間は、彼の「慈善道楽」も大目に見られたのですが、そのうち注文が激減したら支払うお金がない。昨年から高価な機械を幾つか注文してあって、今さらキャンセルもできないからそれらに支払ったら本当にお金がなくなって、最低これだけは手を付けない、という緊急時の備蓄がない人なので、まさにInsolvency(支払い不能)の状況になりました。
今まで高い報酬を払ってきた顧問など全く役に立たない。(この狸親父たちを雇うことにも私はずっと反対だった。だって、私の助言の方がずっとまともで、しかもいつも当っていたから。)
ああ、倒産か!会社という資産はあるのに!ところがそこへ、商売で付き合いのあったフォルクスバンク(国民銀行)の町の支店長が、今は引退していますが何かで危機を耳にして助け舟を出してくれ、彼の労で銀行からの借り入れが可能となり、目下一息ついています。既に銀行からの借金はゼロになっていたこと、いくつかの優良会社が固定客であることなどで、銀行もOKしてくれたので、これからいくらかでも受注があり、出て行くお金を全て厳しくコントロールしていけば何とかなるでしょう。
ほとんどの点で私の予想が当たってワ―ストシナリオが現実となり、「あんなお金を使うべきではなかった」と本人も深く反省していますが、この年での反省というのも・・・まあ、ぶっちゃけた話9割がた無意味ですわね。
リーマンショック時の危機やコロナの際の事業のほぼ停止というひどい経験にも拘らず、私が十分に強く言わなかった理由は、そこまで争うとあとは離婚しかない、と思ったから。私は帰国しても問題なく暮らせる準備はしてありますが、彼が1人で奮闘する姿を想像するとそれもできなくて。
そんな中でプラスの要因は二つあって、まず会社を売ることで彼の老後の費用は十分賄える。良い会社だから、本気で探せば買い手はあるはず。(これもここ4,5年しつこく迫ったのに、彼が聴く耳を持たなかった。)
次に、どうにも打つ手がないときの為に、私が二人の老後に十分な額を日本に密かに蓄えてきたこと。だから亭主があと5,6年、私が仮に10年以上生きるとして、二人の年金(双方ともに自営業だから少ないが、日本ではまあ多い方)もあって、私のちょっと大きな古い家の定期的な維持や小旅行などのプチ贅沢も可能です。
このへそくりについては一生亭主に内緒にしておこうと思っていましたが、私の老後の貧困を想像して夜も眠れなくなっている亭主を慰めるために、ついに明かしてしまいました。それはだいぶ安心材料になったみたい。でも「不甲斐ない亭主」と認めざるを得なくて、傷は深いようですが。
事態の好転を望んでいることは言うまでもありませんが、あまり良くなるとまた商売を続けると言いかねないので、なんとか借金を返済出来て、とにかく会社が売れて、という程度の状況で十分と思っています。そうすれば、彼のプライドもとことん破壊されることはないだろうから。
それにしても憤怒は募る一方だけれど、この危機の中で私が怒ると、あるいは「だから言ったでしょ」と責めると、激痛の傷口に塩を擦り込むようなものだからじっと我慢しています。助言・忠告に耳を傾けなかった亭主への怒りと、自分の中途半端な優しさへの後悔と、落ち込んで半病人になっている男への憐れみと。短編が書けそう。
ドイツ人の妻ならこうはならなかったと思う。そもそも賢いドイツ人の女なら最盛時に離婚していたと思う。ここまで事態が悪化したのは、何の因果か日本人に生まれた私の失態でもあります。まあ、今後も暮らしには別に困りませんし、特に私には家もあって友達もいる救われるけど、一方で労わらねばならない気の毒な配偶者がいるということは、女にとってはかなりの負担になりますね。
ということで現状況の説明が終わったので、読んだ本についての感想はこれからの数日に書かせて下さい。