秋の夜に浮かぶ面影声を聞く
秋の夜の見え隠れする雲と月
草陰におや彼岸花誰に咲く
天高し雲がなければただの青
認知症選択科目にしたい秋
秋吐息カンナと菊と明けの空
懐かしい肌の寒さや秋早朝
のり弁をひとりほおばる秋と居る
秋が来て夏乗り越えた次は冬
プラタナス秋の刈り込み男前
風涼し猫は朝寝の秋の夢
秋の夜半水は甘露かなごり酒
漬かった大根を出しきゅうりを漬け込むとき、かき回す手に初めて母を感じました
ぬかみそをかき回す手の秋夜寒
秋口の花の白さや朝開く
密吸われ花びら落つる秋の風
明けの秋猫まるまって給餌待ち
地域猫がいつもの格納庫の定位置で餌をくれるのを待っています。
肌寒いので丸まってます。
丈の短いカヌーような、ゴンドラのような月が夜明けの泡立つ鱗雲の中に浮かんでいました、、なんちゃって😅
天高く月のゴンドラ雲に浮く
月の舟空のオリオン秋の夜半
天高く一刷毛の雲朝日差す
秋雨にシャツ羽織ります衣替え
秋寒に気に入りのシャツこんにちは
シャツ一枚上から羽織る秋雨かな
冷たいな水道の水今は秋
長雨に緑茶にコーヒー🍵☕️おいしいね
秋来たぞ水道の水冷たいもん
秋来たと告げる人なし今朝の秋
行く雲と風に吹かれてさらば夏
わあ凄い、こんなにたくさん。ぬかみそ、のり弁、郷愁を誘う言葉がちりばめられています。プラタナスの刈込が男前っていうの、こちらでも分かりますね。GIカット?リーゼント?
・秋来たぞ水道の水冷たいもん
これは面白い。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども…」なんて歌に比べて、私などにもピンと来る。普段着の言葉遣いが生きています。これぞ現代のカジュアル俳句。
秋は確かに句作を促す季節ですね。一部、以前の句も紹介させて下さい。
・紫苑揺れ一文字挵顕るる
(イチモンジセセリは子供の頃から馴染みのある秋の蝶です。)
・風叶ふ鬼の醜草憐れみて
(紫苑は好きな花の一つですが、このオニノシコグサというおっかない別名を知って一層好きになりました。)
・分点を待たず蝦夷菊盛りけり
(分点は春秋両方あるけど、蝦夷菊別名アスターで秋の句と分かっていただけるでしょう。)
秋分/春分には墓参りが付き物なので、数句。
・秋に逝けば供花はいつも秋桜
・海に背を向けて墓前に桔梗花
・傾きし墓石に垂れる烏瓜
・母の胎に命忘れて墓参待つ
(父の妹二人は死産または生後まもなく世を去っていて、小さな墓がたてられています。)
ところで、夫の田舎の家は正真正銘の田舎で回りは森なので鹿がよく来ます。夫の留守中には毎夜近くまでやって来て鳴いてくれました。
・夫待てば夜長の伽と雄鹿鳴く
鹿は日本では秋のものらしいですが、こちらでは春にもよく出没するので、春に作った句もあります。ちょっと季節外れですが、ついでに。
・躑躅食む鹿の親子に夜は明くる
・空腹の鹿来る頃と消す春燈