空っ風蕪の若葉の師走かな
何かのDMについてきたかぶの種、土に撒いたら、寒さにも、陽あたりの悪さにもめげず小さな葉っぱを出している、寒さに強いと知る。
梢みな毛細血管冬並木
そぞろ寒箒の掃き目師走雲
満月を知らせてまわる師走かな
12月8日2022年、今年最後の満月を兄が音声LINEで知らせてきた、月に心を寄せる兄に初めて会いました
暖求め移住がわりの仮の宿
引っ越しは通りの向こう師走かな
引っ越し先の南側の真向かいさんは2階建てなので日差しが遮られずに差し込むのがありがたい、ひなたぼっこしながらコーヒーを飲む…こんなことで幸せになれる安上がりな僕もありがたい。
ため息を一人聴く夜冬の暖
赤々と電気ストーブ夜明け前
電気ストーブの棒みたいな電熱管が冬の朝を温める、息を整え見つめる僕は天井に向かってため息ひとつ、さてと今日を始めるかな
早朝、一番電車に乗って兄のところに向かう
山の手線配る人群れ冬の街
明けの街電車は軋む外の寒
兄と行く小寒むに向かう道の際
高台の枯葉踏み行く冬小径
冬来たりガスコンロON瑠璃と燃ゆ
夜明け前のうす暗闇にガスコンロをつけると、、透明なその青い色が美しい
虫食いの服じっと見る冬ひとり
傘を打つ雨音静か冬の雨
打ち捨てた遊び道具の冬休み
足温器朝のまどろみ冬気配
年々の四季折々の冬陽かな
酒あれば冬の入り口いらっしゃい
酒あれば欲しいものなし冬来たれ
若い時に飲んだくれていて良かったなぁと思いました、歳をとったときのためにあんな馬鹿をやっていたんだなぁと涙が出そうです🥲
洗われて次の風待つ紅葉かな
真夜中に寝飽きて目覚む冬はじめ
ふと見上ぐ下弦の月の夜寒き
父母を思い浮かべて七五三
定宿の碁打ちの響き冬静か(借景俳句、クレマチスさん風景をありがとうございます!)
降りやまぬ紅葉の落ち葉春想う
掃きよせる紅葉の落ち葉降り止まず
好き色を留めて落ち葉途切れなし
舞う落ち葉日毎透け行く並木道
虫食いの葉裏の紅葉抜ける空
植え込みに浮いた枯葉の人心地
枝離れ残る色香もまた紅葉🍁
出来立ての落ち葉の色の冬模様
錦繍の落ち葉拾って散歩道
窓枠の秋空だけの平和かな
北窓に行き交う空の秋のどか
羊雲屋根乗り越えて行け大洋
桜咲く小春日和の天使かな
生き延びた蚊が血を吸うか秋夜長
(まとめ…こうして今年の秋にさかのぼって独り言の言葉遊びをまとめていたら、いま人形と目が合いました
人形と来春目指す師走かな
今年もいろいろなことがあったようななかったような夢のような1年が過ぎていきます…来年もよろしくお願いいたします)
1.満月を知らせてまわる師走かな
これ「あるある」です。我が家の居間の窓は東南に向いているので、家の前の丘から月が昇って来るのを見て、「ほら、満月よ、見て見て」と亭主に言うことがよくあります。先日の師走の満月はマイナス温度の中で、「凍れる月影空に冴えて」という歌詞を思い出しました。(今調べたら、この「灯台守」という歌はイギリスの曲らしいですが、作詞は勝承夫、NHKから1947年に世に出たそうです。私は5年生11歳のとき学校で習った記憶が。)
2.山の手線配る人群れ冬の街
街の風景って、秋から冬にかけて目に付くようになるのはなぜでしょう。春夏は気分が明るいから目移りしたり気が散ったりするのでしょうか。私もちょっと作ってみました。
・秋深き街によそ人ケーナ吹く
・焼栗屋北の他郷にいましばし
こっちの街には、ロシアや南米から楽士がきていろんな楽器でいろんな曲を演奏します。私の好物焼栗の栗はライン川沿いの暖かい地域で少し採れますが、イタリアやクロアチアなど南国の人が冬になるとやって来て、屋台で売っています。
3.舞う落葉日ごと透けゆく並木道
ほんと、そういえば秋が深まるとともに葉っぱが薄くなる。葉脈だけになった葉など、絵心をそそりますね。落葉の句は私もいくつか。
・落つる葉の軌(みち)を目で追う安息日
・闇夜踏む落葉松の葉の柔らかき
欧州のキリスト教国では日曜日は今でも原則働いてはいけないし、騒がしい娯楽もご法度で、本来は静かに何もせず過ごすのが理想です。ぐうたらの私にとっては都合のいい慣習なので、落ちる葉っぱを眺めたりして大人しく従っています。
落葉松は、落ちた葉だと季語が冬(11月)なんだそうです。葉が落ちる前の秋の金色もきれいですよ。落葉する唯一の針葉樹ですね。
4.枝離れ残る色香もまた紅葉
こっちは専ら黄葉で紅葉は滅多に見られないからか、日本の紅葉があまり記憶にないせいか、私も紅葉の句を作ることは稀です。一つだけ。
・血の色の重さに耐へず紅葉落つ
5.人形と来春目指す師走かな
人形と春。これも分かります。上記の通り我が家の居間は東南を向いているので、三月になると日光が部屋に入ってきて、ちょっと奥まった所に飾ってある人形に陽が当たるようになります。
・陽射し伸び人形の頬赤らみぬ
それまでまだ数か月、人形は陰にいて冬を凌いでいます。私もです。