
6月1日(日)
右の耳が鼓膜が破れたように、何も聞こえなくなりました…ちょっとがっくりして…それから身の回りがゆっくりと動くようになりました。
強迫観念のような後ろからせっつかれるような感じがするりと抜け落ち、残されたもので生きていこうと思いました。僕が変わった瞬間かもしれません。
はがき大の大きな名刺をつくりました。簡単な自己紹介と経歴、こんなものを作るのに2年間かかったというわけです。耳の聞こえが悪くなった成果です。
トランペットにミュートをつけて音を出していると、遠くの方でかすかな音が響く。まぁこれはこれで楽しめます。乱視がひどくなってきていますが、まだ見えるので、耳がダメだったら、今度は絵を描こうと思います。ちゃんとした絵が描けるような気がしています。人物画の興味は尽きません。
四つ木御殿の改造をQさんに頼まれるままに、少しずつ片付けていくのが面白いです。少しずつでも手を入れたところはがらりと風景が変わる。
ジムでコンスタントに泳ぐようになって、丸二年、、一所懸命練習してうまく泳げたと思ったそのタイミングで褒めてもらえると小学生のように嬉しい。
歳をとることで、凹む事はもちろん増えてきていますが、若い時から凹む事はたくさんありましたので、凹むことにも慣れてきています。これは老化真っ只中にあることを自覚することによる進化だと思います。
楽しむということがどういうことかわかってきたような気もします。残されたもので楽しんでゆく。
人間はどんな環境にも慣れてゆく。諦めることもいいもんだなぁと思いました。ひょうひょうと生きていってもいいことがありがたい。
「選ばれた国民の健康維持に注力している。国の安定のための国策」なるほど、そういうことか。貧乏で健康保険の掛金もろくに払えない国民は、そんなに長生きしてもらう必要はない、って口には出せないから、こういうシステムでそれを実施している。うわ、さすがドイツ、腐っても優生保護法・血統優先の国。
私の読んだ記事は、アメリカのGDPに対する医療保険の支出は世界でも群を抜いて大きいのに、それでいて寿命は70歳台、これほどコスパが低いのはなぜか、という疑問を投げかけてその背景を探るものでした。
それを紹介していると長くなるので、またの機会に譲って、ここでその記事の中にあったグラフをお目に掛けます。
横線がGDPに対する支出の割合(アメリカは16.6%でダントツの一位、二位のドイツは12.7%、日本は11.5%で世界で4位)で、縦線は平均寿命(アメリカは76.4歳でメキシコ、コロンビアとほぼ同等、中国の77歳に負けてる。ドイツは80.8歳、日本は84.5歳でトップ)です。
ほんとアメリカは無駄に税金を使っているとしか言えません。まあ、もともと移民の国で貧富の差が著しく州ごとに文化も経済水準も異なるから、日本や欧州と同列で比較するのも無理はありますが、医師の報酬などが破格なのは、まず彼らは学生時代に銀行からの貸付で勉強しておりその返済がある。それが千万単位になりますからね。アメリカ人はかなり豊かな家庭でも、大学の授業料を親が負担することはあまりないのです。専門が医学ではアルバイトで稼いでも限度があるし、ローンはほぼ必須です。
欧州のように授業料を無料にする?ムリムリ。米国が社会主義制度を導入できないのは、これだけ大きくてこれだけ多様性に富み、何もかもがごちゃ混ぜの国で下手に平等主義を貫こうとすると国家財政がたちまち破綻することは目に見えています。(潜在力のある者にはチャンスを与える、無能者はテキトーにやってくれ。この方式で世界の科学技術や文芸をリードしてきたわけだから。)
それと裁判の備えての保険がありますね。何でもかんでも訴えられるから、ちょっとしたミスでも賠償額が最低数百万円、億単位のこともよくある(そのうち3割~5割は弁護士のふところへ)。そのため医師の報酬は欧州の2~3倍、日本の5倍以上。借金と訴訟リスクを抱えての商売だから、仕方ないか。
こういうアメリカという国の伝統や裁判文化や家族の在り方、祖先を異にする人々の生き方も考えないと、今の米国の医療制度の惨憺たるコスパには対応できません。それにしても、興味が尽きない国ですよね。住みたくはないけれど。
(これはスイスの新聞の記事なのでドイツ語で、スイスSchweizのケースも紹介されていますが、この国は世界の中で日本に一番似ているかもしれません。人口も国土も、それから国民一人あたりの所得も、比較にならないほど異なるのに、メンタリティーには共通点が〈まだ〉あります。「働かざる者食うべからず」という格言が〈まだ〉生きている例外的に真面目な国、ということでしょう。)