横綱・鶴竜が引退、の報道にこれまでけがの連続で仕方がないと思った。
最後に優勝した2019年、東京・両国国技館で「赤ちゃん抱っこ」の催し物に家族で参加した。鶴竜に孫を抱いてもらい、あまり見たことがない彼のニコッと笑った姿が私たち家族と共に写真に納まっている。撮影後「優勝おめでとうございます」とお祝いとねぎらいの言葉をかけると「ありがとうございます」と初めて生の声を聞いた。両肩にポンと触れた時、鍛えられた強じんな体に感心した。
一時期、大相撲の上位がモンゴル勢に席巻されたことがあった。「まるでモンゴル場所」とやゆもされた。でも大相撲は、国で差別はしない。強い者が勝ち残る世界だ。10代の若者が言葉の通じない異国に来て、全く違う文化と縦割り社会の大相撲の世界で、厳しい稽古などに耐えた結果、横綱という最高位になったのだ。「今までお疲れ様でした」と言いたい。親方になってもエールを送り続けたいと思っている。