12月21日(木)
美文字研究会10人ほど応募がありましたが第3回目の昨日見えたのはお一人。しばらくおしゃべりして別れました。耳の遠い者同士の会話結構成り立ちます。
お話ししながら、僕のほうは座布団が1枚欲しかったのでシャツの切れっ端で綿を包み、胸のボタン部分を残して面白く仕立てました。それを見ていて、お相手の方が懐かしがってくださいました、、私もそうやって布団の綿入れをしていたものです…。
家にいったん戻り、自由の庭の集まりに顔を出す。お馴染みの皆さんに僕のほうの簡単な報告をさせていただき、帰り、数人の方とすぐ近くの居酒屋でいっぱい飲みながら交歓しました。僕は熱燗の酒を2合のみ、耳が聞こえないので一方的に喋って…それもかなり喋って多分1ヵ月分ぐらいしゃべって面白かったです。
別に聞こえなくたって一方的にしゃべれば相手は聞かざるを得ないし、僕の方の個人的な鬱憤も晴らせる、、わがままって面白い、と思いました。
皆さんと別れてから蕎麦屋に入りざるそばを食べ帰宅。
人間ってしゃべる動物、こんなおしゃべり、動物の中では人間だけ、やっぱり人間て動物の世界の中ではかなり変わっている。僕も人間社会の中ではちょっと変わった部類に分類されてきてしまったかも…僕が今まで気がつかなかっただけで前からかも…あはは。
(兄の要求もその他いろいろの細々したことに移ってきたので気楽に対応しています。週末は多分甥っ子たちが兄のところに行くだろうと思います)
今日私は、ご近所の婦人のお見舞いと誕生日祝いを兼ねた花を買いにガーデンセンターに行きました。
先回は2週間ほど前のことで、それはクリスマス飾りの常緑樹の枝や赤い実を買うのが目的で、そのときカフェでMさんとお茶したのですが、給仕してくれた30代半ばと思しき男性が面白くて、肌は茶系、ずんぐりむっくり型、髪の毛をまとめて頭のてっぺんで結び、ちょっと小錦風の顔立ちでした。お勘定の時、「私は日本から来たんですけど、あなたは?(人にものを訊くなら自分の紹介もしないと)」と尋ねると、ドミニカ共和国とのこと。思わず、あら、サトウキビの採れるところね、と反応してしまいました。
というのは、亭主の業種ではフラン樹脂という硬化剤を相当量使うのですが、その樹脂の原料がサトウキビなのです。それをこちらで知ったとき、どこのサトウキビなのかと亭主に訊くと、主にドミニカ共和国からとの答えでした。
今日はケーキを買っただけでカフェではお茶を飲みませんでしたが、そのドミニカさんが愛想を振りまき「楽しいクリスマスを、よい休暇を」というので、「ドミニカの人ならクリスチャンだよね」と訊くと、「うん、そう、パパはカトリック、ママはプロテスタント、でもお空の神様は一人だから」との模範的な答えが返ってきました。
実はドミニカに関しては愉快な(というと叱られるけど)話を聞いたことがあるんです。
イタリア人ジェノバの生まれのコロンブスがスペインの王様をスポンサーにして大西洋を渡りアメリカ大陸を発見したことはよく知られていますが、その上陸地がハイチだかドミニカのサントドミンゴで、ドミニカではいずれにしても後にコロンブスの弟が代官みたいなことをしていたので、ここはコロンブス家と縁が深いのです。
コロンブスはスペインの旧都(日本でいうと奈良みたいな町)で亡くなりますが、故人はセヴィリアに埋葬してもらいたいと言っていた、と誰かが言うので、そこに埋めました。すると、当時ドミニカを支配していたスペイン人グループが、いや、コロンブスは自分の発見した島で眠りたいと言っていた、と主張し、すったもんだでドミニカのサントドミンゴに運ばれて埋葬されたのですが、そのうち島はフランス領になった。フランスなんかに渡してたまるか、という声が高まったので、掘り返してまたスペインへ、そして前述の彼が没した旧都に埋められたのですが、そのうちフランスが撤退したのでまたドミニカへ。
本国スペインも黙っておらず、この偉人(探検家でいわば山師でもある)の望みを尊重してセヴィリアで永遠の眠りを、と喚き続け、その廟ために壮大な聖堂も建て、ごり押しして結局コロンブスは今はセヴィリアで眠っています。えらい出費だったけど、そのおかげでセヴィリア聖堂は「コロンブスの墓」という名所になって見学者が引きも切らないので、元は取れたらしい。
収まらないのはドミニカで、セヴィリアに埋められているのはニセの遺骸だと主張し、また一部の人はフランスが引き揚げた時に遺骨を運び去ったので、スペインに戻す遺骨なんか無かったという。セヴィリアはカンカンに怒って、それならコロンブスの弟や親戚の遺体と照合してDNA検査をしてみよう、ということになりました。
結論。セヴィリアにあるのは、確かにコロンブスの遺骨だった。でもそれはほんの15%でしかないんですって。つまり、太西洋を何度も行ったり来たりしているうちに、骨の一部が海に落ちたり、誰かに盗まれたりして、残ったのは遺骸の6分の1、という事態になっちゃんたんですね。
人間の馬鹿さ、ある意味可愛らしさを示すエピソードとして、私はこのコロンブスの骨の話がとても気に入っています。