市役所で呼び出し待つ間クーラー下
市役所の呼び出し待つや夏終い
川口市役所の2階テラスが広々とした木製デッキでそこのベンチで一休み
テラス吹く筋雲遥か夏の風
新都会古民家と居る夏風情
黒日傘黒き装い通勤路
味のあるアジアンすだれ売りません
古い雑貨屋さんの店頭になかなか良いすだれがあったので値段を聞いたところ3000円、買いますと言ったら「取れない」ので売れませんですと。商売気ゼロの若旦那さんでした。
夏通り古くて新た鉄の街
裏通り下町丸出し夏のシャツ
百日紅オブジェの隣夏公園
百日紅壁画と居ます夏模様
朝顔や夏の記憶と一休み
小型車が人と一緒に夏歩む
裏通り日傘の下の立ち話
珍来軒菜来軒と並ぶ夏
片方の袖しどけなし夏女
駅広場タンクトップの闊歩かな
駅広場植え込みの花なごり夏
行き過ぎる残り香しばし駅テラス
夏電車来る間が待てぬスマホかな
子が親の頭支えて夏電車
お疲れ模様の母親は隣の座席の子供に頭を支えてもらっていました
デコルテの胸で操る夏化粧
外の夏見る人もなき車内かな
川口はお兄様が住んでおられるのですね。かちねっとの時代に、確か「キューポラのある街」の撮影で吉永小百合が来て、今は故人となられたお義姉さまがサインを頼んだら「いやッ」と言われ、すっかり小百合嫌いになったという話をしておられたのを覚えています。浜田光男が「いつもは、ああじゃないんだけどね」ととりなしたというのも面白かったので、記憶に残っている(要らんことばかり覚えている、と文句を言われることが多い)。
その川口、今はクルド人が増えて、最近は乱闘が起き病院に運ばれる人も出てその騒ぎで診療が数時間止まってしまったというニュースを見ました。左派の朝日新聞などはそんなニュースは取り挙げず、またクルド人の人権擁護を訴えるグループもあるそうですが、私は欧州各国でのクルド人移民(不法移住者を含む)問題を見聞きしていますので、外国人への対処の仕方をよく知らない、いわばナイーブな(素朴・純朴・世間知らずという意味)日本の、それも東京以外の自治体では、いずれトラブルが頻発するのではないかと案じていました。
クルドという言葉を初めて聞いたのは、職場でイラン人グループの世話をしたときで1973年でした。その一人があるとき「僕はイラン人じゃないんだ」というので、どういうことかと詮索したら、出身地はイラン西部のクルディスタン(クルドの国という意味)生まれで、本来はペルシア語でなくクルド語を話し、一般のイラン人と違ってイスラムのスンニー派だということ、言語や宗教で差別を受けているということも話してくれました。彼はすらりと背が高くて色白で髪の毛の色も明るくヨーロッパ人と言っても通用する容貌で、その後知った獰猛な山岳民族クルド人、という特色は全くありませんでしたし、学歴も南のシラ―ズという都市にあった「パーレヴィ大学」の卒業生でした。つまりクルド人とはいえ相当のエリートだったため、彼もまた革命で国を出てしまったことでしょうが、典型的なクルド人ではないので欧米のどこかで比較的恵まれた暮らしをしているのではないかと思います。
典型的なクルド人の場合はやはり教育レベルも高くなく、日本でも言葉の能力が問われない解体業に従事する人が多いと聞きますが、教育や教養はともかくイラン、トルコ、シリア、イラクなどで独立独歩の生き方を貫き、どこからも歓迎されない、という(一説には数千年の)歴史を持っているので、確かに「獰猛」と言って悪ければ「粗野」な人々が多いようです。実際私の住んでいる町にも以前はかなりいて、麻薬の密売などやっていました。(警察の手入れで大部分は雲消霧散してしまいましたが。)
川口市の住民にしてみれば、クルド人が増加して状況が悪化すると安全の問題に加えて土地の格にも影響し、黒人が増え始めた地域から白人が脱出するというようなアメリカ風の現象が起きて土地の値段も下がるなど、市民的観点から好ましくない事態になり兼ねないと怖れているのでしょう。
でも彼らが日本人が厭がる種類の仕事もこなしてくれているならなんとか妥協点を見つける必要がありますが、それには日本人が冷静に「言うべきことは言う」姿勢を学び、欧州で受け入れているから日本も、と先進国の真似をするのでなく(実際、報道されない移民問題が山のようにあり、人権・福祉で知られるデンマークやスウェーデンで移民に対する政府の態度が硬化していることから、この問題への対処には熟考を要します)、相手側も自分の文化や風習(例えば極端な男女差別)などに拘らず受け容れてくれた国の伝統を尊重することが必要です。この種のことに関しての説得力や意思疎通力に欠ける日本人にとってはチャレンジだと思いますが。
さて、俳句。先日の春硯さんのブログで日傘がテーマになっていましたが、今回は黒日傘。これは紫外線防止効果が高いというのでポピュラーになっていますね。でも昔風の、白っぽい、レース飾りなどがある優しい風情の日傘がやっぱりなつかしい。UV対策には向かないかもしれないけど。
朝顔もそろそろ終わり。こんな駄句を作りました。
・朝顔や花弁一つに命賭け
どうみても一枚の花弁しかないのですが、本来は5枚あるのが繋がっていて、これを合弁花というのですって。でも継ぎ目も見えないし、一枚と数えてもよい、とありました。
タンクトップの句、新鮮というかモダンというか。
・吾が老いやタンクトップが季語になる
歳時記も時代に合わせて変わっていくのですね。私は海外暮らしですので、この変化には既に適応しているつもりです。